「居丈高」とは
もともとの「居丈高(いたけだか)/威丈高」の意味は、座ったときに背が高いこと、つまり、座高が高いことです。転じて、相手に対する威圧的な態度、ひどく怒って押さえつける様子という意味もあります。
動物が威嚇するときの行動の一つに、相手よりも体を大きく見せることがありますよね。人間も威張るときは胸を張って体を反らす、背筋を伸ばして顎を上げることがあります。このようなところから、後者の意味が派生しました。今では後者の意味で用いられることがほとんどです。
「居丈高」の使い方
上記の通り、「居丈高」は人の態度を表す言葉です。多くの場合、夫の地位や収入を主婦仲間の前で鼻に掛ける、学校で後輩に威張り散らすというように、立場や経済状態などの力関係が上の者のふるまいに対して用いられます。
しかし、怒り心頭して声を荒げる、強く言い放って相手を押さえつけるといった場面では、力関係に関わらず使われることもあります。どちらにしても、「居丈高」はあまり褒められた態度ではありません。
例文
- バイト先の先輩はいつも居丈高な態度で指図するので職場では嫌われている。
- 「いつまでもこんな安月給じゃ生活できない」と、妻は居丈高に食ってかかった。
- 係長はノルマ達成できなかった部下を居丈高に怒鳴りつけた。
- ローンの支払いが遅れたこちらに否はあるが、銀行員の居丈高な口調にカチンときた。
「居丈高」の類語
「高飛車」
「高飛車(たかびしゃ)」は、相手に対して高圧的な態度とって、頭ごなしに押さえつけることを言います。本来は将棋の戦法の一つ、浮き飛車(うきびしゃ)を指す言葉でした。
浮き飛車とは、飛車(ひしゃ)の前にある歩(ふ)を進めて、飛車を前に出す攻めの構えを指します。この将棋の戦法から、「高飛車」が人の態度を表す言葉としても用いられるようになったのです。
【例文】
- 学年一の秀才のA君は、女の子には優しいが、男には高飛車な口の利き方をする不愉快な奴だ。
- サービス業だからお客様への高飛車な態度はNGだけど、あまりに無茶なご要望はお断りすることもある。
「横柄」
「横柄(おうへい)」とは、威張ったり無視したりといった人を見下すような態度をとること、礼を欠いて遠慮のないことです。
ここでの「横(おう)」は、横暴(おうぼう)や横領(おうりょう)のようにわがまま勝手、わくをはみでる、むちゃなようすを表します。また、「柄」は権力や勢いという意味ですから、「横柄」は勢いに任せて勝手をすることを指すのです。
なお、「横柄」は「押柄」と書くこともあり、「押柄(おしから:押しの強い性格)」の音読からできた言葉という説もあります。
【例文】
- 叔父夫婦には今までもお金を貸しているのに、借りに来る度に横柄な態度をとるので腹が立つ。
- 会社でのAさんは物腰が柔らかくてみんなから慕われているけど、お酒が入ると突然横柄な口調になって課長を「お前」呼ばわりするらしい。
「傲慢」
「傲慢(ごうまん)」は、思い上がって人を見下すような態度をとることです。「傲」も「慢」も、おごること、あなどることを指すことから、似た意味の漢字を重ねて強調している熟語であることが分かります。
【例文】
- 弁護士や医者は資格を取った時から「先生、先生」と呼ばれるので、傲慢にならないように気をつけないといけない。
- 課長の部下に対する傲慢なふるまいが社長の耳に入り、社長から厳しく叱責された挙句、左遷された。
「尊大」
「尊大(そんだい)」は、威張ってえらそうにすること、相手を見下す態度をとることです。漢字を見ると、尊(たっと)ばれる存在の人間が威張ることを指しているように思うかもしれませんね。
しかし、実際には、大した地位や力もない者が威張ったり、身の程をわきまえない態度を取ることを言う場合が多いようです。
【例文】
- Aさんは新人時代から尊大な感じがあり、当時からすごく目立っていた。
- 逮捕された容疑者は、報道陣の前で尊大な態度をとったので、SNSで非難轟轟(ひなんごうごう)だった。