「自覚」とは?意味や使い方をご紹介

「社会人としての自覚」「親としての自覚」などと聞くと、ちょっと耳が痛いと感じる人もいるかもしれません。「自覚」は、人が社会生活を送る上で大切な意識のひとつでしょうから、意味をしっかり理解しておきましょう。今回は「自覚」の意味と使い方を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「自覚」とは?
  2. 「自覚」の使い方
  3. 「自覚」の類語

「自覚」とは?

「自覚」は、(じかく)と読みます。社会生活を送っていると、しばしば見聞きする言葉ですが、仏教用語、哲学・心理学の用語としての意味も存在します。

「自覚」は、大きくわけて次の3つの意味をもつ言葉です。

  1. 自分自身の状態や置かれている立場、能力や価値を認識すること。自らをわきまえること。
  2. (仏教用語)自ら迷いを断ち、悟りを開くこと。
  3. (哲学用語)自我や自分の行為を意識すること。自己意識。

「自」は、音読みが(ジ・シ)、訓読みが(みずか・ら、よ・り)。多義的な漢字ですが、「自覚」においては「みずから、自分ひとりで」という意味で用いられています。

他方「覚」は、音読みが(カク)、訓読みが(おぼ・える、さ・ます、さ・める、さと・る、さと・り)。意味は、①覚える、記憶する、気づく。②さとす、悟る、道理を知る。③覚める、目を覚ます。こちらは①と②が「自覚」に反映されています。

「自覚」の使い方

3つの意味を持つ「自覚」ですが、今回はもっとも一般的な1の意味の使い方を掘り下げます。「自覚」は、名詞として「○○の自覚」などと使う場合と、「回復を自覚する」のように動詞として使う場合があります。

1の意味をさらに細かく解釈すると、自らの状況、価値や能力を対象とする「自覚」と、単純に「自分で感じとる」という「自覚」に分けることができます。

前者の「自覚」は、自身のや状況、立場、能力などをありのままに自己認識する心の動き、意識を指します。「自覚を持つ」とか「自覚が足りない」といった言い回しも一般的です。また、後者はしばしば「自覚症状」という言葉で、自らの体調や病状を認識することを表します。

次に紹介する文例は、この「自覚」をさまざまな角度でとらえたもののほか、仏教用語、哲学用語としての「自覚」の文例も一つずつご紹介します。

「自覚」の文例

  • 山本君は、すでに子供時代には、自分に類まれな記憶力が備わっていることを自覚していた。
  • 期末テストの結果があまりにもひどくて、勉強不足を自覚した。
  • 二日酔いで授業をするとは、君には教師の自覚がなさすぎるよ。
  • 妹は脳出血で倒れ一命を取り留めたが、高血圧の自覚はまったくなかったそうだ。
  • その僧侶は自覚への到達を目指し、霊性静修行に励んでいた。(仏教用語)
  • 自分の内部・外部で起こることにありのままに気づくこと、それを受け入れ見つめることが、哲学における自覚といえる。(哲学用語)

「自覚」の類語

「知覚」の意味と使い方

「知覚」は、(ちかく)と読みます。意味は、①思慮分別をもって知ること。知性によって知り、悟ること。②感覚器官を通じ、外界の事象や身体の状態を知る働き。

宗教的な意味はありませんが、①は仏教用語としての「自覚」と似通った部分があります。また、心理学の基礎用語のひとつでもあり、心と身体、感覚器官などで使い方も異なってきます。

文例①:沈思黙考しているうちに、このたびのことの道理が知覚できた。
文例②:虫歯の痛みと思って歯医者に行ったら、知覚過敏だと言われた。

「感知」の意味と使い方

「感知」は、(かんち)と読みます。感づくこと、気づくこと、外界などの変化を直観的に感じ取ること、などを意味する言葉です。

「自覚」との大きな相違点は、基本的に自身以外への気づきが対象となることです。もちろん、自身の変化を感知する、と表現することは可能ですが、頻度としては低いでしょう。

文例:真のリーダーは、側近らが抱く自分への疑いや反感の色を、すぐに感知することができる。


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