「陳腐」の意味
「陳腐」(ちんぷ)とは、ある物事がありふれていてつまらないこと、時代遅れで古臭いと感じることです。それぞれの漢字を見ると、「陳」は長い時間を経ていて古くなっていること、「腐」は古くなっていて役に立たないことを表しています。
「陳腐」の使い方
「陳腐」は、人や物をけなす時に使います。物事や世間に出回っている品物や人の意見、話の内容などが、すでに見慣れていて目新しさが全く感じられない、ありきたりで取るに足らないといった意味です。自分に使う場合は、謙遜(けんそん)の意を表すこともあります。
「陳腐なセリフ」「陳腐な意見」「陳腐な褒(ほ)め言葉」のような例があり、すでに見聞きして飽きている、古臭く流行遅れであることを表すようにも取れますね。
「陳腐」は、文学や絵画、映像などの芸術作品の評価をする際にも用いられます。独自性が感じられず人の真似に過ぎない、マンネリ化した作品や表現の仕方がすでに見たことがありつまらないという、ネガティブな意味です。
「陳腐化」とは?
「陳腐」の後に「化」を付けて、「陳腐化する」と使う例もよく見られます。「陳腐化」とは、当初は目新しく新鮮に映ったが、時間の経過により古臭くなってありきたりな様子に変化したことを言います。
出た当初は革新的でも、すぐに慣れて特に珍しい感じがしなくなったり、新しい物が次々と出てきたりで旧製品が見向きもされなくなりますね。「陳腐化」は、商品の機能や技術、ファッションなどのブランド、企業のサービスに対して使われることが多いです。
例えば、パソコンや家電は季節が巡るごとにモデルチェンジをしますね。半年ぐらいで新製品が出て、前の製品は陳腐化します。顧客が飽きて次の品を購入するように企業が対策を練って、あえて商品発売のサイクルを短くして陳腐化させる目的もあるようです。
「陳腐」の例文
- どうせ陳腐な意見しか言えないから、討論会に参加しなくても良かったかも。
- 陳腐な褒め言葉と言うけれど、心がこもっているならきっと喜んでくれるよ。
- 無難にまとめているけれど、極めて陳腐な小説だね。読む価値はないよ。
- 家電はすぐに陳腐化する。新製品が発売される時に型落ちモデルを買うのがおすすめ。
- 少し前に流行ったブランド品が陳腐化して、見向きもされなくなった。
「陳腐」の類語:月並み
「月並み」(つきなみ)とは、もともと毎月、月ごとにという意味でした。しかし、現在ではありきたりで工夫がなくつまらないことを表します。
意味が変化したのは、江戸末期から毎月行われた俳句の会「月並俳句」(つきなみはいく)が発端です。「月並俳句」は、武士にも町人にも人気がありましたが、師匠の意にかなった俳句が高く評価され、全く面白みも新鮮味も感じられない従来の作風が尊重されていました。
明治の俳人・正岡子規が、創意工夫のない月並俳句を重んじる風潮を公然と批判してから、多くの人に「月並み」という言葉が広がります。やがて、「月並み」が「陳腐」に近い意味で使われるようになり現代に至っています。
【例文】
- 月並みではあるが、母の日にカーネーションの花束を贈った。
- 取り立てて突出したところのない月並みな作品です。
「陳腐」の反対語:斬新
「斬新」(ざんしん)は、今までにない切り口で際立って新しいことを言います。前例がないこと、つまり、従来のものとは全く違う初めてのことを指します。
「斬」は、際立っていることや、他のものよりも抜きん出ているということです。古臭くて飽きられている「陳腐」とは真逆の言葉ですね。
【例文】
- 斬新なアイディアだ。思い切って若い人に担当させて良かった。
- 斬新な技なので、開発者の名前から技の名前を付けたいと思います。