「洒脱」とは
「洒脱」は「しゃだつ」と読み、「俗気がぬけてさっぱりしていること、垢ぬけていること、洗練された趣があること、また、そのさま。」という意味があります。
「洒」は、すすぎ洗うこと、さっぱりしたさまなどを意味する漢字です。他方「脱」は、とりのぞくこと、ぬけ出すことなどを表しますが、ここでは「あっさりしている」という意味が強く反映されています。
誤用しがちな「洒」と「酒」
「洒脱」の「洒」は、「酒(さけ)」とよく似ていますから、誤用しないよう留意しましょう。「洒」は音読みで「サイ・セイ・シャ」などと読みますが、「酒(さけ)」は、音読みで「シュ」です。
洒脱と同じように「シャ」の読みを当てる言葉としては、「お洒落(おしゃれ)」や「洒然(しゃぜん:さっぱりとしてこだわらないさま)」などが挙げられます。
「洒脱」の使い方
「洒脱」は、プラスの意味で使われる言葉ですが、さまざまなニュアンスを持ちます。人柄や能力・センス、あるいは物の性質・様子など、対象は幅広いでしょう。
例えば、さっぱりしていて付き合いやすい人、垢ぬけている人、おしゃれな人、これらはどれも「洒脱な人」と言い表すことができます。どのような意味合いで用いられているかは、文脈から判断する必要があります。
「洒脱」の例文
- 先輩は洒脱な性格で、多くの後輩から慕われている。
- 常にステレオタイプの言動の上司は、洒脱でない人だと思う。
- 最近読んでいるコラムは、洒脱な文章で私好みだ。
- ファッション誌の表紙を飾る彼女の、洒脱な着こなしに憧れる。
- あのカフェは、コーヒーが美味しいのはもちろんだが、洒脱なインテリアも魅力のひとつだ。
「洒脱」を含む四字熟語
【軽妙洒脱】けいみょうしゃだつ
意味:軽快・軽やかで、洗練されていること・しゃれていること。
例文:軽妙洒脱なエッセイを書く大学教授は、後にベストセラー作家になった。
【滑稽洒脱】こっけいしゃだつ
意味:機知に富んだ言動で、俗気がなく洗練されていること・さっぱりしていること。
例文:滑稽洒脱な話術の人が座に加わった途端、ギスギスした雰囲気の場が和んだ。
【円滑洒脱】えんかつしゃだつ
意味:問題を起こすことなく、物事をそつなくこなすこと。
例文:プロジェクトが大成功したのは、円滑洒脱なプロジェクトリーダーによることが大きい。
「洒脱」の関連語
「洒脱」の類語
【洒落】しゃらく
意味:気質や言動などがさっぱりとして、物事にこだわらないこと。
例文:伯父のように洒落に生きられたらと常々思う。
【瀟洒】しょうしゃ
意味:すっきりして洗練されているさま、俗を離れてあっさりしているさま。
例文:避暑地にある芸術家の美術館は、展示品ばかりでなく瀟洒な建物も魅力だ。
【小粋】こいき
意味:ちょっとしゃれている・粋なこと、どことなく垢ぬけした趣があること。
例文:パリに長年住んでいた叔母は、いつ見ても小粋な身なりだ。
「洒脱」の反対の意味に近い言葉
「洒脱」には、対義語として辞書にはっきりと示される言葉はありません。ここでは、反対の意味に近い言葉をいくつが挙げてみましょう。
【野暮】やぼ
意味:世情にうとく人情の機微をわきまえないこと、洗練されていないこと。
例文:姉は学生時代の野暮な恰好がうそみたいに、今では流行の服ばかり着ている。
【低俗】ていぞく
意味:程度が低くて下品なこと・卑しいこと。
例文:低俗なうわさ話ばかりする同僚との会話は、とても疲れる。
【無粋(不粋)】ぶすい
意味:粋(いき)でないこと、人情の機微や物の風情が分からないこと。
例文:皆が見て見ぬふりをしていることを指摘する彼は、無粋な人だと思う。
「洒脱」の英語表現
上述のように「洒脱」は、文脈によって意味合いが異なる言葉です。ここでは、「洒脱」と訳すことのできる英語表現の一部を紹介します。
【例文】
Paris is one of the sophisticated capitals.
訳:パリは洒脱な(洗練された)首都のひとつだ。
My neighbor is refined elderly gentleman.
訳:私の隣人は洒脱な(上品な)年配の紳士だ。
She was amused by his witty jokes.
訳:彼の洒脱な(機知に富んだ)ジョークを彼女は面白がっていた。