「外聞」の意味
「外聞（がいぶん）」の意味は以下の通りです。
- 他人に聞かれること。自分についての世間のうわさ。評判
- 面目（めんぼく）。名誉
- 見栄。体裁（ていさい）
「他人からどう見られているか、どのように評価されているか」といった事を気にする人は多いでしょう。「外聞」とはそのような評判やうわさという意味で使われるのが一般的です。
また「面目」は「人に合わせる顔・世間に対する名誉」のことで、「体裁」は「自分の状態について他人が見た時の感じ。世間体」をそれぞれ意味します。
つまり「外聞」の共通している意味は「世間が自分をどのように見ているか」であり、その時の評価や見た目を「外聞」と言います。
「外聞」の使い方
「外聞」には次のような慣用句が存在します。
- 外聞をはばかる
- 恥も外聞も無い
- 外聞が悪い
1の「外聞をはばかる」ですが、意味は「外部に知られると具合の悪い内部の事情を（外部に出すことを）差し控えること」です。「はばかる（憚る）」とは他動詞的として「恐れ慎む。気兼ねすること」を指します。
2の「恥も外聞も無い」は「恥ずかしいという感情もなければ、世間からの目やうわさも気にすることなく、なりふり構わず行動すること」です。世間一般では恥ずかしいとされていることをする時にこの言葉を使うことがあります。
3の「外聞が悪い」は「世間体が良くない。体裁が悪い」といった意味です。自分の置かれた状況が芳しくない場合などに「外聞が悪い」と言います。
「外聞」を使った例文
- 部下が「外聞をはばかる話なのでここでは…」と言うので、場所をかえて話を聞いたところ、どうやら先日ヘッドハンティングされたらしい。
- 帰宅中に結婚指輪を落としたことに気が付いたが最早取り返しはつかず、恥も外聞も無く土下座して許しを請おうと決意した。
- 喧嘩をした上に妻が実家に帰ると言い出したので、外聞が悪くなることを恐れた私は平謝りを繰り返して何とか事態を収拾した。
- 外聞ばかりを気にし過ぎて自分の言いたい事を言えないでいると、積極性が足りないと怒られてしまった。
「外聞」の類語
「面子（めんつ）」
「面子」の意味は「面目。体面」です。中国語をそのまま使用した言葉で、この意味以外にも「麻雀のメンバー」、転じて「会合などの顔ぶれ」という意味もあります。
「面」は「顔」のことですから、「面子」は「個人、または集団の外面的な体裁」という意味です。「面子を立てる」や「面子に関わる」のように、中身はさておき体裁に関係する際に使われます。
【面子（めんこ）】
ちなみに「面子」ですが日本語読みすると「めんこ」になりますね。「めんこ」は、子供の頃にやった人も多いであろう遊びを指します。ボール紙などで作った四角形や丸形の板を互いに地面に打ち付け、相手の板を裏返せば勝ちというルールです。
「他聞（たぶん）」
「他聞」とは「他に聞こえること。他人が聞くこと」です。具体的には「他人が聞いたことで受ける印象」のことを指します。人に聞かれたくないことや聞かれたくないことを差し控えることを「他聞をはばかる」と言います。
【「他聞」と「多分」】
よく間違えやすいのがビジネスシーンで用いられることの多い「御多分（ごたぶん）に漏れず」というフレーズです。こちらは「例外ではなく。他と同じように」を表しています。
しかし、「ごたぶん」を「御他聞」と表記したり、それを正解とする説明などがネット記事などには多く存在します。「ごたぶんに漏れず」の場合は、「御多分」が正しいと覚えておきましょう。
「沽券（こけん）」
「沽券」の意味は「人の値打ち。品位。体面」です。もともとは土地や山林、家屋などの売り渡しの証明文のことで、その後、「沽券＝価値」となりって「人の価値」にまで意味が派生したとされています。
「人の価値」を表す場合の沽券は、「あいつに土下座するなんて俺の沽券に関わる」「腕力で男の沽券を示そうとした」のように用いられます。
【沽券（うりけん）】
「沽券」はその成り立ちから「うりけん」とも読まれます。沽券（うりけん）は実際に江戸時代までは広く流通していたので、沽券（こけん）が今の意味になったのは最近のことだそうです。