「勘案」とは?意味や使い方をご紹介

「勘案」は、ふだんの会話では見聞きすることが少ない言葉ですね。「いろいろと検討し考え合わせること」を意味する硬い表現ですが、ビジネスや新聞記事など公的なシーンではよく使われます。今回は「勘案」の意味と使い方を類語を交えてご紹介します。

目次

  1. 「勘案」とは
  2. 「勘案」の使い方
  3. 「勘案」の類語

「勘案」とは

「勘案」(かんあん)とは、さまざまなことを検討し、考え合わせることを意味します。日常会話ではまず見聞きしない硬い表現ですが、ビジネスシーンや公的な文書などに広く用いられています。

漢字から意味が想像できるとも言い難く、ややとっつきにくい言葉かもしれません。意味を深く理解するために、「勘案」の二つの漢字をそれぞれに検証していきましょう。

「勘案」の字義


「勘」は、音読みが(かん)、訓読みが(かんがえる)。多義的な漢字ですが、「勘案」に用いられている意味は、考える、比べる、調べる、です。

「案」は、音読みが(あん)、訓読みが(かんがえる、つくえ)。こちらも多くの意味を持つ漢字ですが、「勘案」の「案」は、考える、計画、ということを表します。

どちらの漢字も似た意味で用いられていることがわかりますね。したがって、「勘案」は調べたり比べたりして考えることを指しています。

「勘案」の使い方

「勘案」は、会話であれ文書であれ、ビジネスシーンにおいてはよく用いられます。次のように、尊敬語、謙譲語、丁寧語としてさまざまな場面で登場する言葉です。

【尊敬語として】
取引先や上司などに使うさいは、「ご勘案」と「ご(御)」を付けます。そのうえで、「ご勘案くださいませ」「ご勘案お願い申し上げます」のように用います。

【謙譲語として】
勘案は謙譲語として自分に対して用いるさいの言い回しは、「勘案させていただきます」「勘案いたします」などです。

【丁寧語として】
会議やビジネス会話において、丁寧語として「勘案します」のように使うこともあります。

使い方のポイント

「勘案」を用いる場合、ただ「勘案します」とだけ言うよりは、次のようにほかの言葉と一緒に用いると効果的です。

  1. 「実績や適性を勘案して」「収入や家族構成を勘案して」
  2. 「諸事情を勘案して」「総合的に勘案しますと」

1のように具体的に考え合わせている点を述べることで、丁寧で説得力のある表現になります。また、2のようにいろいろな側面から検討していると言い添えるれば、誠実に努力している姿勢を示すことができます。

「勘案」の文例

  • 顧客からのクレームには、さまざまな状況を勘案しつつ誠意をもって対応すべきだ。
  • このたびはお手数をお掛け致しますが、諸事情ご勘案のうえご回答頂ければ幸いです。
  • ご投資のお申し出、三点ほどの条件を勘案させて頂いたうえで、のちほどご連絡申し上げます。
  • ラクロス部の新設は、顧問のなり手、予算などを勘案しますので、決定は年末になります。
  • 営業部に異動希望とのことだが、君の適性その他、総合的に勘案して回答するよ。

「勘案」の類語

「考慮」の意味と使い方

「考慮」とは、行動したり判断するさいに、その対象についてさまざまな要素を考え合わせること思いめぐらせることです。

「勘案」とほぼ同じ意味をもつ言葉ですが、単にひとつのことについて考える場合にも使えるという点が異なります。

【文例】

  • 留学したいというが、目的はなんなのか、卒業後はどうするのか、さまざまなことを考慮してから決めることを勧めるよ。
  • 息子が右足を怪我していることを考慮して、今回の家族旅行はごく近場ですませることにした。

「検討」の意味と使い方

検討とは、物事を多方面からよく調べて考えること、よいか否かを様々な面から調べることを意味する言葉です。

「勘案」に比べて、「検討」はより詳しく調べあげる、よいかどうかという点に重点をおいて調べる、というニュアンスが強くなります。

【文例】

  • 中村君の企画案については、部内での検討を重ねたのちに、通すか否かを決定する予定だ。
  • 家を建てる時期は、資金計画とともに子どもや親の状況など、さまざまなことを検討して決めるべきだ。


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