「隘路」とは?
「隘路」は、<あいろ>と読みます。「隘」という漢字をあまり見かけないこともあり、読み方も意味も分かり辛い言葉のひとつといえましょう。意味は、下記の二つです。
- 狭くて通行の困難な道。
- 物事を進めるうえで困難や妨げとなるものや、克服するのが難しいもののたとえ。
本来の「細い道」という意味から、通り抜けるのに困難であるということの比喩のかたちで2の意味が派生したと考えられます。「隘」という字は、ここでは「せまい」という意味で用いられています。
「隘」には他に「けわしい、ふさぐ、ふさがる、さまたげる」などの意味もあり、細く険しい山道などの「隘路」では、このような意味も重なってきます。困難さに結び付くネガティブな意味をもつこともおわかりになるのではないでしょうか。
「隘路」の使い方
物理的な「隘路」
物理的な道としての「隘路」は、「人が通るのに困難なほど狭い道」というイメージであり、単なる小道というだけではまず使いません。また、現代社会においては、道と切り離せない存在として「車」が通れるかどうかを考慮する必要があります。
「隘路」は、車が通るのにてこずる細い道も指します。人がゆとりをもって通れても、車にとって難しい細い道であれば、「隘路」なのです。自動車免許保持者にとっては、取得時に「隘路」の達成項目があるため、この言葉は馴染み深いはずです。
山道をはじめ、幅の狭い道が多い日本においては、特に大型車の運転で「隘路」をクリアする技能は欠かせません。「隘路」や「狭隘(きょうあい)道路」などの言葉は道路法規にも用いられています。行政においては、幅4m未満の道路を指しています。
比喩的な「隘路」
物事の障害という意味で比喩的にも使われる「隘路」ですが、日常会話で使われることはまずありません。文章で用いるのにふさわしい言葉といえましょう。
困難とはいえ単純なトラブルに「隘路」を使うのは不自然です。たとえば、営業において、ある商品の買い取りを小売店から断られたとします。このような、「シンプルに達成できない」というだけの状況を「隘路」とは言い難いです。
小売店の店主と相性が悪い、ライバルメーカーの新商品が出たばかり…などなど、様々な障害が立ち塞がる状況なら、「隘路」は馴染みます。代表的な言い回しには、「隘路に陥る」「隘路にぶつかる」「~が隘路になる」「隘路を抜ける」などがあります。
「隘路」の例文
- このたびの登山行程には隘路が多く含まれることを参加者は承知しておいてください。
- 運転免許を早く取りたいのに、隘路の項目がなかなかクリアできない。
- イベント実施の一か月前に主催地で地震が発生するという隘路に陥った。
- 資金難が隘路となり、プロジェクトはいまだスタート地点にさえたどり着けていない。
「隘路」の類語
狭路
「狭路」(せばじ)は、読んで字のごとく、狭いみち、細道、すなわち隘路を意味する類語です。現代では「きょうろ」と読む場合が多いようです。
「隘路」のように比喩的な使い方はなく、物理的な細い道という意味のみであり、自動車の用語として頻出します。
【例文】運転免許の路上試験で狭路を通るときには緊張してしまう。
ボトルネック
「ボトルネック」は、bottleneckという英語に由来するカタカナ語です。びんの口にあたる狭い部文を指す本来の意味から転じ、英語でも日本語でも、物事の流れを滞らせるような困難や要因を意味する言葉として用いられます。
ビジネス用語といってよいほどビジネスシーンで頻出しますが、工場など現場での作業やシステムの流れにおける具体的で要となる障壁として使われる場合もあります。
【例文】商品企画における最大のボトルネックは、才能ある人材の不足と断言できる。