「先駆け」の意味とは?
「先駆け」(さきが-け)の意味は以下の2つです。
- 敵方に最初に攻め入ること
- (1から転じて)他よりも早く物事をはじめること。または、その人や物。
この場合の「先」は順序や時間などが前に位置すること。「駆け」は動詞の「駆ける」から来ていて、馬に乗り速く走らせることから、速く走る、疾走するなどのことを表しています。「先駆け」で、味方の誰よりも先に立って、陣地に真っ先に攻め入る様子がイメージできますね。
なお、漢字で「魁」や「先駈け」と表記する場合もあります。「魁」には、他の者よりも先頭に立つという字義も。「先駈け」の「駈」も「駆」と同じように馬に乗って走るなどのことを表します。
「先駆け」の使い方と例文
1.最初に攻め入る
「先駆け」は、合戦で武士がいちはやく敵方に攻め入る様子を表すのに使われました。しかし、現在の日本では戦乱や紛争はほぼありません。このような意味で「先駆け」を使う場合、主に合戦を舞台にした文学などの芸術作品や古典の軍記物などで見られます。
【例文】
- 先駆けの功名(こうみょう:手柄のこと)で、殿から褒美をもらった。
- 合戦で先駆けした武士は、敵を前に名乗りを上げてアピールしたようだ。
2.他よりも早く物事をはじめる
「先駆け」は、物事を他よりもいち早くはじめたこと、もしくは、その人や物をも表します。現在、用いられている「先駆け」のほとんどはこちらの意味です。
【例文】
- 他の店に先駆けて、デスクワーク用のこたつを仕入れて販売した。
- この店はチーズケーキブームの先駆けとして有名だ。
- 沼津の御用邸には甘い香りが広がっている。春に先駆けて、梅の花が咲きだした。
「先駆け」の類語
先陣を切る
「先陣」とは、もともとは大将のいる本隊の前に配置された戦陣のこと。「切る」はこの場合、その場を切り開くように勢いよく進むことです。
「先陣を切る」で、真っ先に敵陣に乗り込んで行くさま、そこから派生して、他人よりも早く行動を起こす様子を表現できます。「先駆け」と同じように、一番乗りするように敵に挑んでいく様子や、最初に物事をはじめることを表す時に使えます。
【例文】
- 武士が先陣を切って敵に向かうのは、味方のためであり、また、出世のためでもあった。
- 弊社は業界の先陣を切って、新しいタイプの機材を導入した。
草分け
「草分け」(くさわけ)は、草が茂った土地を最初に開拓し、地域の基礎を作って村や町を作ったことに由来する言葉です。ある物事を最初に行ったこと、またはそれをした人(創始者)という意味は、「先駆け」の2の意味と似ています。
また、「草分け」はその言葉の由来から、町や村を作るのに貢献した人などを指すこともあります。つまり、物事の基礎を率先して作ること、もしくはその発展に尽くした人ということです。
【例文】
- あのモデルは、日本でファッション業界の発展に尽くした草分けの1人だ。
- 彼女の祖父はこの地域の道路や土地を整備し、有数の商業地にした草分け的な人物だ。
開拓・開拓者
もともと、「開拓」は山や荒れ地を整地し、田畑や住宅地、道路などにすることをいいました。「開拓」(かいたく)とは、ある物事の新しい分野を切り開く、新たな進路を見出すことです。このような意味で使う場合は、「先駆け」の意味2に近いですね。
また、「開拓者」は新たな領域や分野を切り開く人や、もとの意味から、土地の開拓に関わった人のことを表します。
【例文】
- 彼は新たな販路を開拓して、当社の売上を伸ばした。
- 先生は研究に成功し、難病の治療法の開拓者だと評価を上げた。