「分け隔てなくなく」とは
「分け隔てなく」とは、「分け隔てる」の否定形で、「分け隔てない」が副詞化された言葉です。「誰とでも公平に接するさま」から、「相手によって扱いを変えたり、差別しない」ことを意味する表現です。
「分け隔てなく」は、「分ける」と「隔てる」から構成されています。それぞれの意味を見ていきましょう。
「分ける」の意味
「分ける」は、多義語ですが、主な意味は以下の通りです。1が、「分け隔てなく」の「分ける」の意味です。
- 種類によって分けること。分類すること。(男性と女性に分ける)
- まとまっているものをいくつかのものにすること。分割すること。(2回に分ける)
- 左右に押し開くこと。(草を分けて進む)
- 勝負がつかないものとしてやめさせること。引き分けにすること。(勝負を分ける)
「隔てる」の意味
「隔てる」には、以下のような意味があります。1が、「分け隔てなく」の「隔てる」の意味です。
- 関係を疎遠にすること。壁をつくること。(二人の仲を隔てる)
- 物をおいて仕切ること。(ついたてで隔てる)
- 物を間におくこと。(道路を隔てた向う)
- 年月など時間的な距離をおくこと。(数十年の歳月を隔てる)
このように、「分け隔てなく」は、それぞれの語が合わさって、「人を分類したり疎遠にしない」というところから、上記のような意味になります。
「分け隔てなく」の使い方
- 大統領は分け隔てなく誰とでも接する素晴らしい人です。
- この非常事態の中、医療関係者は分け隔てなく患者に接しています。
- 監督はレギュラーや控え選手を分け隔てなく出場させています。
- 母親は私たち兄弟を分け隔てなく愛情を持って育ててくれました。
- 分け隔てなくお客様に接することが営業の基本です。
「分け隔てなく」の類語
「一律」
「一律」とは、「すべてが同様で例外などがないこと」または、「物事の調子や様子が同じで変化がないこと」という意味です。「すべてが同じで優劣はない」というところは似通っていて、類語と言えます。
[例文]
- 使用料は全国一律となっていますのでよろしくお願いします。
- 不公平のないように両者を一律に取り扱わなくてはならない。
「一様」
「一様」とは、「すべて同じ様子であること」または、「一般的に世の中にあふれていること」という意味です。この言葉もすべてが同様という点から類語と言えます。
[例文]
- この地域の人たちは一様に穏やかな物腰で親切な態度です。
- 彼らは一生懸命に長時間働き続けたので一様に疲労困憊しています。
「公明正大」
「公明正大」とは、「公平に物事を行うこと」という意味です。つまり、「隠し事をせずに、公平に堂々と物事を行うさま」を表す四字熟語です。「区別することなく公正」を意味するところが類語と言えます。
[例文]
- 彼の公明正大なところが多くの人から慕われる点です。
- 先生からは公明正大に生きていくことの大切さを教えてもらいました。
「中庸」
「中庸」とは、「かたよることなく調和がとれている」という意味です。また、「倫理学において、徳の中心となる概念」や「中国の戦国時代の思想書」のことでもあります。
「両極端に偏重することなく中間に位置するさま」は公平、公正でありその点のニュアンスが似通っています。
[例文]
- 経営方針で大切なことは中庸の精神を持ち続けることです。
- 邪念の気持ちを振り払って中庸となすことが課題となります。
「分け隔てなく」の英語表現
「分け隔てなく」の英語表現では、「without distinction」や「with equal」などのフレーズで表現します。without distinction(差別のない)やequal(等しい)など同等の意味などを表すような用語が用いられています。
[例文]
- He treat people without distinction.(彼は分け隔てなく人を扱います)
- My mother treat her sons with equal kindness.(母は自分の息子たちを分け隔てなく愛情を持って接しています)