「きっぷがいい」とは
「きっぷがいい」は、「気性のよいこと。とくに、思いきりが良くてさっぱりとした性格」を表す言葉です。「きっぷ」は、「気立てやその人のもっている心意気」を表す「気風(きふう)」の読みが、「気っ風」と転じたものです。
辞書的な意味ではありませんが、一般に「お金を出し惜しみせず使う人」といったニュアンスで使われることもあります。これは、「金品を惜しみなく使う性質」を表す「気前がいい」と似ていることや、後述する「江戸っ子」の特徴に当てはまる、などの理由が考えられます。
「きっぷがいい」江戸っ子
「江戸っ子」とは、その名の通り江戸(現在の東京)で生まれ、江戸で育った人のことを指します。威勢がよくさっぱりとして、まさに「きっぷがいい」性格で、人情家、お金に執着することがない、といった気質が特徴です。その一方で、喧嘩っ早い面もあったそうです。
江戸時代の後半の洒落本などでは、「江戸言葉」を使う「江戸っ子」町人を描いた作品もみられるようになりました。
「きっぷがいい」の使い方
「きっぷがいい」は、その人の性格や行動などをプラスに評価する際に使います。竹を割ったようなさっぱりとしたイメージですね。男女どちらに対しても用いることができます。
例文
- 彼はきっぷがいい性格で、誰からも好かれています。
- 私の祖父や父親は生粋のきっぷがいい江戸っ子です。
- 姉は、はっきりとものを言うタイプで裏表がなく、きっぷがいい女性だ。
「きっぷがいい」の類語
「気前がいい」
「気前がいい」とは、さっぱりしている、お金やものに執着しない、という意味です。「きっぷがいい」と比較すると、こちらは「けちけちしない」というニュアンスが強い表現です。
[例文]
- 社長は気前がいい人で、社員全員にピザを差し入れてくれた。
- 彼は最近、妙に気前がいいね。株でも当てたんだろうか。
「さばさば」
「さばさば」とは、物事にしつこくこだわらないさま、という意味で「きっぷがいい」の類語たりえます。文脈によっては、「冷たい性格」といったややネガティブなニュアンスを帯びることもありますが、前向きな評価であることが多いでしょう。
[例文]
- 先輩はさばさばした人で、仕事のミスをいつまでも引きずる私とは正反対だ。
- 私さばさば女子なんだよね、という人ほど重い性格な気がするよね。
「江戸言葉」
「江戸言葉」は、先述した「江戸っ子」が使う、独特の言い回しや表現です。現代で江戸言葉を使う人はなかなかみられませんが、時代劇や落語にもよく登場します。そのいくつかをご紹介しましょう。
「粋」(いき)
「粋」とは、「洗練されていて、色気を醸し出している」という意味です。また、「人情を理解していること」や「遊びに精通していること」なども指します。
「粋な着こなし」や「粋な店」など、人の気質以外に対しても使います。さっぱりとした感じは、「きっぷがいい」に近い印象もありますね。
[例文]
- 彼は、粋な浴衣で夏祭りに出かけた。
- 先輩の粋な計らいにより、二人は出会うことができました。
「いなせ」
「いなせ」とは、「威勢がよく、さっぱりと男らしいさま、性格」という意味です。江戸の若者が「鯔背銀杏(いなせいちょう)」という形にまげを結った姿に由来しています。「粋」よりは男性的なイメージが強いですが、こちらも「きっぷがいい」に似ていると言えるでしょう。
[例文]
- お祭りになると、いなせな恰好をした若者たちが大勢集まってきます。
- この地域は、昔からいなせな職人がたくさんいます。
その他の江戸言葉
【おととい来やがれ】
由来はいくつかありますが、「二度と来るな」ということを表します。「おとといおいで」も同じ意味を表します。
【ふてえ野郎】
「ずうずうしくて神経の太いひと」ということです。「神経が太い」から派生したもので、相手を罵倒した表現です。