「看做」とは?
「看做」の読み方がぱっと思い浮かぶ人は少ないかもしれません。「看做す」であれば、(みな・す)という推察はできることでしょう。
「看做」は「みな」と読むことが殆どです。まれに、この二文字だけで「みなし」と読む場合がありますが、一般的ではありません。そもそも「看做」のままで使われること自体がほとんどなく、「看做す」「看做し」というかたちで用いられる言葉です。
「看做」とは、端的にいえば、そのようなものとして認識すること、を意味する言葉です。実際の用法は「看做す」として用いますので、意味の詳細な解説は「看做す」に準じてご紹介します。
「看做す」の意味
「看做」の実際の使い方、「看做す」(見做す)の意味は、以下の通りです。
- 見たものを、これだ、このようなものだ、と判断したり仮定したりすること。
- (法律用語)ある事柄において、他の性質の異なる事柄と法律上同一視して、同一の法律効果を生じさせること。
- 見届ける、見極める。
- 実際にはそうでないものを、そうだと思い見ること。
このうち、3や4の意味は現在ではほとんど使われない昔の用法です。
2は法律用語ですが、以外にも日常生活上で頻繁に使われています。実際は違うけれども法律上は同じものとして扱う、という意味として、みなし手当、みなし規定、みなし公務員、みなし配当、みなし相続財産、などです。
「看」と「做」の字義
「看」は、音読みが(かん)、訓読みが(み・る)。意味は、みる、注意してよくみる。「看」ですぐに思い浮かぶのは「看護師」ではないでしょうか。患者を注意深く見て、護る(まも・る)人、という意味であることが納得できますね。
「倣」は、音読みが(ほう)、訓読みが(なら・う)。意味は、ならう、まねる。「模倣」という言葉が思い浮かびます。「作」の異字体なので、作る、為す、という意味ももちます。
上記二字の意味により、「看做」(看做す)とは、あるものを、見たものにならって同じように扱うことである、とわかりますね。
「見做す」の使い方
「見做す」は、重要かつ要注意な言葉です。法律用語の「みなし」は、本来異なるものであるのに同じ法律効果が適用されてしまうというのですから、これは要注意!「みなし~」の意味がわからず同意してしまい、悔いるとになっても後の祭りです。
一般的に使われる「看做し」でも、同じことが言えます。「あなたの立場は~さんと同じと看做してもいいですね?」と言われたら、詳細をちゃんと尋ね、納得して返事すべきです。
逆に、「看做す」を使う側は、何を何に看做すのか、わけても「何に」がどんな意味や条件をもつものなのかを、丁寧に説明する必要があります。無責任な使い方をしないように注意するべき言葉です。
「看做す」の文例
- 君は親戚だから、アルバイトというより手伝いと看做して、待遇もあまりよくないけれど、それでもいいかな?
- パリへの旅の懸賞に応募するハガキに応募シール添付がない場合は、無効と看做します。
- 「みなし残業」制を了解して入社したが、リアルな(実際の)残業がみなしの倍以上あり、後悔している。
「看做す」の類語
見立てる
「見立てる」は、多義的な言葉ですが、「看做す」の類語としての意味は、なにかを別のものになぞらえる、そのものと仮定して看做すことです。
文例:庭に、別荘と見立てた小さな丸太小屋を建てた。
推定する
「推定する」も多義的ですが、「看做す」の類語としての意味は、明確にはわからないことを、いろいろな根拠や情報をもとにして、こうだろう、と推測して判断したり決定したりすることです。
文例:最近の女子中高生は化粧が巧みなので、見かけで未成年か否かを推定することは危険だ。