「利点」とは
「利点(りてん)」とは、有利な点、好都合な点、長所、メリットといった、一言で言えば良いところという意味の言葉です。
「利」は多義語ですが、「利点」の「利」は、よい、役に立つ、都合がよい、効き目がある、はたらきがある、きくといった意味です。「利」には、利己・便利・有利などの熟語があります。
「点」も多義語ですが、「利点」の「点」は、「有利なポイント」「どこがよい部分なのか」という、部分を示す役割を果たしています。
「利点」の対義語:「欠点」
「利点」の対義語は「欠点(けってん)」です。意味は、不足する点、不十分な点、短所、あらといったものですが、試験などの落第点、赤点という意味もありますね。こちらは、足らないところが転じて、悪いところと言えるでしょう。
「欠点」の「欠」は、かく、かける、あるべきものが足りないという意味です。補欠・欠落・欠陥などもこの意味で使われています。
「利点」と「欠点」の使い方
「利点」も「欠点」も、物事の性質から世の中の仕組みまで、さまざまなことに使うことができます。しかし、人の性質を表現するときには「利点」はあまり使われません。
「利点」には「便利に使える」という語感があるため、人に使うのには抵抗が感じられます。人の性質を言う場合は「長所」や「取り柄」などがよく使われています。
「利点」の例文
- 彼をヘッドハントすると、わが社にとってどんな利点があるのかね。
- この太陽光パネルの利点は、携帯性に優れているだけでなく、発電効率が飛躍的に向上した点にあります。
- 私の住んでいるマンションは、家賃は高いけど、駅まで徒歩1分という利点があり、とても暮らしやすい。
「欠点」の例文
- 短気ですぐに怒り出すところが彼女の欠点だ。
- 彼の欠点を数えだしたらキリがない。いいところを見つけるのが難しい。
- 最近の自動車と比較したら、マニュアル操作でパワーステアリングもついていないような私の車は欠点だらけと言われるだろうが、私にとっては大事な愛車だ。
- 政治や経済の中心が東京に集中していることは、特に日本のような地震国では欠点と考えるべきだろう。
「利点」の類語
「長所」
「長所(ちょうしょ)」は、よいところ、すぐれているところ、美点といった意味があります。おおよそ「利点」と同義で、人にも物事にも使うことができます。
【例文】
- どんなに嫌な人間にも一つぐらいは長所があるものだよ。
- この新素材の長所は、軽量性・遮熱性・通気性を備えていることです。
「特徴」
「特徴(とくちょう)」は、人や物の性質などで他と比べて特に目立つ点のことです。目立つということから、視覚的なものが多いと思われがちですが、実際には目に見えない部分について説明する際にも使われる言葉です。
また、「特徴」は、ことの良し悪しどちらでも使えます。「特徴」自体はその人や物の目立つ点ですから、その点を良い(利点)と評価するか、悪い(欠点)と評価するかは、時と場合によるでしょう。
【例文】
- 社会科のテストで「議会制民主主義の特徴を挙げよ」という問題が出たけど、分からなかった。
- マンチカンという猫の特徴は短い脚だと思われているが、実は長い脚のマンチカンもいるそうだ。
「取り柄」
「取り柄/取柄(とりえ)」は、特に取り上げられる良いところ、優れたところです。たくさんある優れたところの一つというよりは、あまり優れたところはないが、この点だけは秀でているというようなニュアンスで使われることが多いようです。
また、自分自身の長所を相手に伝えるときに、あえて控えめに言う場合にも使うことができます。
【例文】
- 彼は健康だけが取り柄だと言うが、健康であることは何をするにしても大事なことだ。
- この雑誌は、内容はつまらないが、写真のきれいなところが唯一の取り柄だ。
「欠点」の類語
「短所」
「短所(たんしょ)」は、「長所」の対義語で、劣っているところ、足りないところという意味です。「長所」と同様、人にも物にも使えます。
【例文】
- 短所は、裏返してみると長所でもある。
- このスマホの短所は、バッテリーの持ちが悪いことだ。
「弱点」
「弱点(じゃくてん)」は、不完全・不十分なところ、弱みということです。「弱点」は、単に弱い、足らないところという意味合いが強く、その対象を第三者が見たときに指摘するような場合によく使われます。
【例文】
- 相手チームの弱点は守備力だから、徹底的に攻めていけ。
- 彼のいいところは、虚勢を張ったりせずに弱点をさらけ出して本当の自分を正直に見せてくれる点です。
「不備」
「不備(ふび)」は、本来必要なものが揃っていないこと、準備が整わないことです。
【例文】
- 給付金の申請をしたが、提出書類に不備があると役所から連絡があった。
- 家の図面に不備があったので、設計をやり直すことになった。