「独善的」の意味
「独善的」(どくぜんてき)とは他の人の意見を聞かずに、また相手の都合を考慮せず、自分が正しいと考えて相手を従わせようとすることをいいます。
「独善」とは、この場合は「独りよがり」という意味、つまり、自分のみが正しいと考えていることです。「~的」と名詞の後に付いて使われる場合、「~のような性質を持ったもの」「~のような様子」を表します。
「独善的」の使い方
「独善的」な行為は従わされた相手にとって迷惑極まりなく、ネガティブな意味合いで使われます。大抵の場合、「独善的」という言葉は、「独善的なことをした本人」ではなく、考えを押し付けられた側の当事者や、垣間見た第三者から「独善的」と使われることがほとんどです。
「独善的」の例文
- 独善的な母は、私の友人との付き合いにも口を出してくる。
- 世話好きな親族は独善的な人だ。自分の好む人とのお見合いを強いてきて断るのに一苦労だ。
- 父は人の意見を全く聞かずに言うことを聞かせようとするので、社内の人から独善的だと疎(うと)まれているらしい。
- 近所の奥さんはゴミ出しのルールや掃除の当番のやり方にも口を出して自説を曲げないので、独善的で付き合いづらい人と陰口を聞かれている。
「独善的」な行為の例・原因
相手に無理を強いていても、「独善的」な人にとっては正しいことであり、人に負担を強いる様子が、周りから見ていて良い気持ちがしないことに気づいていないこともしばしばあります。
さらに、全く悪意がなく「独善的」な行動や言動をしている場合は、相手のためになると信じ切り「良いことをしている」と考え、自分と意見が異なる人の方がおかしいと思っている場合もあります。
「独善的」な行動が生じるのは、その人の自己主張が強くて自説を曲げない、負けず嫌いといった原因も考えられます。親子、上司と部下、先輩と後輩などの関係では上の立場であるのを利用して、目下の人に無理を強いる場合もあります。
恋人や友人など同格の者同士の場合でも、自分の方が相手より優れていると錯覚し、相手を無意識のうちに見下していて「独善的」に振る舞う場合もあるようです。
「独善的」の類語
押し付けがましい
「押し付けがましい」(おしつけがましい)とは、相手の気持ちを無視して自分に都合の良い考え方や行動を無理にさせようとする様子をいいます。
「がましい」は「~の様子」という意味などで使われます。自分の思いを押し付ける様子は「独善的」に通じるところがありますね。
【例文】
- 義母は押し付けがましく「お盆には手伝いにくるように」と言ってきた。
- 押し付けがましい先輩は、「手の空いている時でいいんだけど」と呟きながら、面倒な仕事をさせようとしてくる。
自己中心的・自己中
「自己中心的」(じこちゅうしんてき)とその略称「自己中(ジコチュー)」は、自分本位で物事を考え他人の事を考えないといったことを表す熟語です。あくまでも自分が基準であるのが「独善的」と似ていますが、その行動を人に押し付けることまでは言及されていません。
【例文】
- 彼は自己中心的な人間で、思うがままに振る舞っている。
- 最近、平気でポイ捨てして注意をするとブツブツ文句を言うジコチューな人間が増えている。
ハラスメント
「ハラスメント」(英語:harassment)は、人が迷惑する行為や嫌がらせを指します。厳密にいうと「独善的」とは違うように感じられますね。
ただし、立場を利用して部下などに無理強いさせる「パワーハラスメント」(略称:パワハラ)、相手に無理矢理お酒を飲ませようとする「アルコールハラスメント」(略称:アルハラ)などは、自分が良いと考えることを相手に強いる「独善的」に似ています。
【例文】
- 上司にパワハラされて体調を崩し、やむを得ず退社することになった。
- 歓迎会で先輩にアルコールハラスメントを受け、他の大学を受験し直すことにした。