「ハラスメント」とは
「ハラスメント」の意味
「ハラスメント」は、迷惑行為、いやがらせのことです。英語では「harassment」と表記します。
ハラスメントの定義は、相手が不快な思いをしたか否かです。本人にそのつもりがなくても、相手がハラスメントだと感じていれば、ハラスメントと定義されます。
「ハラスメント」の歴史
女性の社会進出が進み、職場での女性に対するセクシュアルハラスメントが問題視されたことから、1997年に「セクハラ規定」ができました。
これにより、「ハラスメント」は世間に広く認識されるようになります。同年に改正された男女雇用機会均等法で、「社員の募集、採用、昇進などで女性差別を禁止する」と定められるとともに、「女性への性差別」も規制されたのです。
その後、2007年に改正男女雇用機会均等法が施行され、男性に対するセクハラも禁止されるようになりました。以前は「職場における女性に対する性的いやがらせ」にのみ適用されていた「ハラスメント」ですが、現在は場所も性別も問わず規制されています。
「ハラスメント」の使用例
- ハラスメントですよ!止めてください。
- 上司にハラスメントされているのだけど、相談に乗ってくれる?
- ハラスメントと言われるのが怖くて、なにもできなくなったよ。
「ハラスメント」の種類
ここまで読んで、「ハラスメント」なんて自分には関係ない、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、人間同士が関わり合うあらゆる場所で、ハラスメントは生じる可能性があります。以下に代表的なハラスメントを紹介します。
セクシュアルハラスメント
「セクシュアルハラスメント」は、性的要素を感じさせる言葉や行為です。「フリーサイズはいくつ?」というものから「結婚しないの?」「〇〇ちゃん」という呼び方、肩をポンポンと触る行為なども、受け取る側がどう感じるかでハラスメントになり得ます。
パワーハラスメント
「パワーハラスメント」は上下関係を利用したハラスメントで、「パワハラ」と略されます。
職場では「必要以上に仕事をさせる」「個室に座らせ仕事を与えない」などがあります。上司が部下に対して権力を利用していやがらせするケースが多いですが、人間関係を優位にした部下が上司に対してハラスメントをすることもあります。
モラルハラスメント
「モラルハラスメント」は略して「モラハラ」、モラル(道徳)に反したことをして相手にいやがらせします。「無視する」「努力を認めない」など、精神的に追い詰めることが特徴です。
セカンドハラスメント
「セカンドハラスメント」はハラスメントを受けている人に対して「あなたが悪い」「身から出た錆だ」などと言い、更にハラスメントを上乗せする行為です。
集団でのいじめの構造と似ており、ハラスメントを受けた人は相談する相手が見つからず、孤立する可能性があります。
アルコールハラスメント
「アルコールハラスメント」はお酒の席で「もっと飲め」「俺の酒が飲めないのか」などと言って、相手が嫌がっているのに飲酒をすすめる行為です。
相手が飲めないのを知っていて、わざとアルコール以外の飲み物を用意しない行為もこれに当たります。体質によっては急性アルコール中毒の危険性もある行為です。
カラオケハラスメント
カラオケで「歌いたくない人に対して無理に歌うように圧力をかける」などの行為を「カラオケハラスメント」といいます。歌いたくない人にとっては、人前で歌うのは苦痛でしかないのです。
スモークハラスメント
「スモークハラスメント」は喫煙者が周囲を気にせず喫煙する行為です。受動喫煙による健康被害は昨今問題視されていますし、目が痛くなったり、咳きこむ人もいます。また、たばこを吸いたくない人に対して、吸うように強要する行為もこれにあたります。
ジェンダーハラスメント
「ジェンダーハラスメント」は「男だから」「女だから」という理由で「重い荷物を持ちなさい」「お茶をいれなさい」などと差別するハラスメントです。セクハラは卑猥さを感じさせることが多いですが、ジェンダーハラスメントはそうとは限りません。
アカデミックハラスメント
「アカデミックハラスメント」は「アカハラ」とも言われ、特に学校で教授が学生に対してするハラスメントです。
「研究機材を貸さない」「論文を受け取らない」といういやがらせもあれば、「学生の論文なのに学生の名前を載せない」「よい成績をあげる代わりに言うことを聞かせる」という利己目的のものもあります。
キャンパスハラスメント
「キャンパスハラスメント」は大学で起きるハラスメントの総称です。「アカハラ」の内容だけでなく、友だちや先輩、後輩からのいやがらせもキャンパスハラスメントに含まれます。
スクールハラスメント
「スクールハラスメント」は学校の先生が立場を利用するハラスメントです。「体を見てあげるから」と裸を見る目的で服を脱がせたり、「恋人と遊んでばっかりだから勉強できない」などという発言もハラスメントにあたります。
まだ自分でハラスメントの判断ができない子どもへの行為もあり、他の教員や親の注意が必要です。
ドクターハラスメント
「ドクターハラスメント」は医師の立場を利用したハラスメントです。「必要な患者のカルテや情報を提出しない」という行為や「あなたは何歳まで生きれば気が済むの」などという心ない言葉もこれに当たります。
「ハラスメント」の現状と使い方
一昔前なら、迷惑行為にもただ悶々とし黙って耐えるしかなかったかもしれません。しかし現在は、上に挙げた例以外にも多くの行為がハラスメントとして認知されており、被害に悩む人の支えになっています。
また、知らず知らずのうちにハラスメント行為を行ってしまうことがないよう、相手が迷惑に感じる可能性がある行為について、しっかりと知識を持っておきたいものですね。