「人徳」とは?意味や使い方をご紹介

「人徳」は難しい言葉のようですが、意外に頻繁に使われます。人々の尊敬が集まる人に「人徳ですね」と称える場面はよく目にしますが、「人徳」の意味を正しく理解するためには、前提となる「徳」を知ることが必須です。今回は「人徳」の意味や使い方を類語と共にご紹介します。

目次

  1. 「人徳」とは?
  2. 「人徳」の使い方
  3. 「人徳」と「人望」の違い
  4. 「人徳」の類語

「人徳」とは?

「人徳」は、(じんとく)と読みます。(にんとく、にんどく)と読む場合もありますが、現代日本語では(じんとく)が一般的です。

「人徳」とは、その人に備わっている徳を意味する言葉です。さて、「徳」とは何でしょう?この「徳」がわからなければ、「人徳」の意味を正しく理解することはできません。

「徳」とは?

「徳」とは、以下のように多義的な言葉です。

  1. 精神の修養(しゅうよう)の結果、身にそなわったすぐれた品性や知性
  2. 恩恵、神仏からの加護。
  3. 富や財産。
  4. 生まれつき備わっている能力や性質、天性、才能。

「人徳」の「徳」は、このうち1番目の意味によるものです。

「人徳」の使い方

「人徳」の使い方の大きなポイントは、基本的に他者に対して用いる点です。自分で自分を「自分には人徳がある」などと言う人に「人徳」が備わっているとは言えません。とはいえ、「自分には人徳がない」ならば、真実にしろ謙遜にしろ、自然な使い方です。

では、どのような人に対して「人徳がある」と言うことが可能なのでしょうか。現代では、精神修養の結果というよりも、人柄がよく、人望を集め尊敬される存在に対して使う場合も多いようです。

道徳的、人間的、社会的などさまざまな意味において優れた気質であれば、当然他者から敬われ慕われます。そのような意味からも、実際に使われる場面としては、多くの人に慕われたり、多くの賛同を得るような人に対して使わることが多いのです。

「人徳」の文例

  • 心の修行をつんだ人徳ある人のそばにいると、自分までその徳を頂けるような気持ちになり背筋が伸びる。
  • 鈴木君は、思いやりと優しさ溢れる人間で、彼が困難にあるときに多くの人が支えようと集うのは、その人徳ゆえだろう。
  • 私は人徳なき人間ですから、そんな素晴らしいお役目には値しませんよ。

「人徳」と「人望」の違い

「人徳」と混同されがちなのが「人望」(じんぼう)という言葉です。「人望」(じんぼう)とは、信頼できる人間として、他者から評価され、慕われることを意味する言葉です。

「人徳」も「人望」も、その人間が優れた人間性を有していることを表すのは共通する点です。それでは、なにが違うのでしょうか。

「人徳」はその人に備わるもの

「人徳」は、その人に備わるものです。例えば、人徳ある人が孤島で一人住んでいたとしても、その人は「人徳ある人」として成立します。

一方、「人望」は、他者が人を評価するベクトルです。「人徳」ある人でも、孤島の一人暮らしでは「人望」は成立しません。

また、周囲に人がいたとしても、人の価値観は異なります。「人徳」は普遍的な性質ですが、「人望」は他者の価値観や評価に左右されるものです。

「人徳」の類語

「有徳」の意味と使い方

「有徳」(うとく・ゆうとく)は、徳があること、徳行のすぐれていること、あるいは、そのようなさま、そのような人のことを意味する言葉です。「有徳の人」は、よく使われる定型的な言い回しです。

文例:山本さんは有徳の人で、誰からも尊敬され、なにをするにしてもリーダー的な存在となる。

「器量」の意味と使い方

「器量」(きりょう)は、多義的な意味を持ちますが、「人徳」の類語としては、ある事をするのにふさわしい能力や人徳のことを意味します。

「人徳」に比べると、少々限定的なニュアンスですね。また、「器量がある」という言い方よりも、器量に乏しい、器量が大きい、などの程度を表す言い回しが頻繁に使われます。

文例:今回会長に選出された山田氏は、非常に器量の大きい人物なので、組織をよくまとめ率いていくことだろう。


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