「関知」の意味
「関知」(かんち)とは、「ある事に関係して知ること」「あずかり知ること」という意味の言葉です。
基本的には「関わり、知る」と書く通りの意味であると受け止めて構いません。単純に「知る」という場合に比べて、何か特定の物事に「関わる」というニュアンスが含まれる点が「関知」の特徴です。
「関知」の使い方
多くは否定語を伴う
「関知」は、多くの場合すぐ下に「~しない」「~するところではない」など否定語が伴います。これは、話題となっている物事に自分が「関わっていないし、関わっていないのだから知っているはずもない」ことを強調するためです。
単純に「知らない」と言った場合、「立場上知っているはずなのに、知らなかった」というニュアンスが含まれる場合があります。要は、「本当は知っているのでは?」という疑念を差し挟む余地が残るのです。
それに比べて「関知しない」は、「そもそも前提として、それについて知る立場・身分・役職ではない」というニュアンスに重きが置かれます。「関り」自体を否定していますから、「知らない」よりもいくぶんか客観的に物事を論じられるといえます。
社会的な背景で使われることが多い
言葉の性質上、「関知」は多くは立場・身分・役職などが重要な意味を持つ社会的背景で使われます。
特に、物事の真偽を明らかにし、状況に白黒つけることが重要である政治やビジネスの世界では、「知りません」の代わりに「関知しておりません」という言葉がよく聞かれます。
社会的背景を持たない場合でも「どの視点からそれに関わり、知るのか」という客観的視野のもとで「関知」が使われることが大半です。
例文
- 不祥事の責任を問われた〇〇大臣は、「この出来事について、私はまったく関知しておりませんでした」と答弁した。
- 豪遊続きの藩主はまったく関知しないことであったが、〇〇藩の財政は破綻しかかっていた。
- 〇〇州の知事は、「中央政府が何と言おうと関知するところではない。私は州民のために奉仕するのみだ」と発言した。
- この先、君たちに何があろうと、僕は一切関知しないからそのつもりで。どんなトラブルも当事者だけで片付けてくれ。
「関知」と似た言葉
感知
「感知」(かんち)は「気配や様子から感じ取って知ること」という意味の言葉です。「関知」と同じ読みであること、「知る」という共通点があることから、混同には気を付けましょう。
「感知」は主に感覚によるもの、「関知」は何か物事と関わることによる知見、と区別しましょう。
【例文】:テレビを見ていた彼は、部屋に誰かが入ってくる気配を感知した。(※「関知」は使えない)
関与
「関与」(かんよ)とは、「ある物事に関わること」という意味の言葉です。「関わる」という点において「関知」と共通項があり、何かに「関与」するということはそれについて「関知」することでもある、と言えるでしょう。
ただしその逆、「関知」しているからといって「関与」しているとは言えない場合もあります。「関与」には積極的に関わるというニュアンスがありますが、積極的に関わらなくても「関知」することはできるからです。
【例文】:この事件には、あの犯罪組織の関与が疑われている。
映画のセリフに登場する「関知」
『ミッション・インポッシブル』の決め台詞
有名な映画シリーズである『ミッション・インポッシブル』(別題:スパイ大作戦)において、「関知」という言葉は一種の決め台詞として象徴的に使われています。
(例によって、君もしくは君のメンバーが捕えられ、または殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで)
解説
上記のセリフは「ゴースト・プロトコル」とも呼ばれ、IMF(Impossible Mission Force:主人公が所属する政府のスパイ組織)の構成員がもし任務中に捕まっても、IMFは「そんな構成員は知らない」という態度をとる、という取り決めです。
政府の命令で非合法なスパイ活動をしているのに、その任務中に何かあっても政府は「関知しない」。理不尽なようですが、それほど成功率が低く、それを承知で実行しなければならないほど最重要の任務であることを示す有名な一文です。