「存外」とは?意味や使い方を類語を含めてご紹介

物事は予想通りにいくこともあれば、いかないこともあります。予想外の出来事が驚きや発見、出会いをもたらしてくれることもあるでしょう。予想外を表す言葉の一つがです。今回は、「存外」の意味や使い方について、類語を含めて解説します。

目次

  1. 「存外」とは
  2. 「存外」の使い方
  3. 「存外」の類語
  4. 「存外」の関連語

「存外」とは

「存外」<ぞんがい>には次の二つの意味がありますが、現代で使われているのは1の意味です。この記事では、1の意味の「存外」について解説します。

  1. 予想していたのと様子や程度が違うこと。思いの外。
  2. 非常識な振る舞いをすること。無礼。

「存」の字義

「存」を、「存在」の存(意味:ある・いる)や「生存」の存(意味:いる・ながらえる)と考えてしまうと、「存外」の意味が捉えにくくなってしまいます。

「存外」の存は、ビジネスシーンでもよく用いられる、「ご多忙のことと存じます」「お変わりないと存じます」というときの「存ずる」と同じ。思う・考えるという意味です。

「存外」の使い方

「存外」は、予想以上に大変良いという場合にも、予想よりもかなり悪いという場合にも用いられます。

【例文】

  • 彼はしっかり者だと言われているが、存外おっちょこちょいなところがある。
  • 祖父は存外に達者な足取りで山道を登り始めた。
  • 自信を持って売り出した新商品が存外に売れずに困っている。
  • 今回の法改正に反対を表明する者は存外多い。

「存外」の類語

「案外」

「案外」とは、①予想通りではない・思いのほか、②非常識な振る舞いをすること・無礼、という意味を持つ言葉です。「存外」と同義と言えますが、こちらも、現代においてはほとんど①の意味で用いられます。

【例文】

  • 外に出てみると、案外気温が低いことに気がついた。
  • 海外旅行中、和食が恋しくなるかと思ったが、案外平気だった。

「意外」

意外」とは、考えていたのと実際の状態がかけ離れていること、またはその様子という意味です。「存外」の意味1、「案外」の意味①と同じですね。

【例文】

  • 彼の仕事ぶりを褒めると、彼は意外そうな顔をした。
  • 品川駅が品川区にあると思っている人は意外に多いそうだ。

「偶然」

「偶然」とは、①予想もしない出来事が起こること、②たまたま、などの意味です。①の「予想していない」というニュアンスは「存外」に通じるところがあります。

ただし、「存外」は程度を表すのに対し、「偶然」は出来事を表す点においては異なります。そのため、「存外おっちょこちょい」を「偶然おっちょこちょい」と言い換えることはできません。

【例文】

  • 電車に乗り合わせた人と偶然同じ服を着ていたことに気づいて気まずい思いをした。
  • 抗生物質として有名なペニシリンは偶然発見された物だそうだ。

「物怪」

「物怪」を<もののけ>と読むと妖怪や幽霊などを指しますが、<もっけ>と読む場合は、①思いがけないことやその様子、②不吉なこと・異変、という意味です。①の意味においては、「存外」と似ていますね。

ただし、「物怪」はほとんどの場合は「物怪の幸い」という慣用句として用いられます。これは「思いがけない幸福」という意味です。なお、<もっけ>には「勿怪」の表記もあります。

【例文】

  • 授業が自習になったのを物怪の幸いと、生徒たちは遊んだり騒いだり好き勝手に過ごした。
  • 自宅が台風で浸水したものの、家族のアルバムは無事だったのは物怪の幸いだった。

「飛んだ」

「飛んだ」には複数の意味がありますが、その中の一つが、思いがけない・意外なほど大変なという意味です。おもに悪い意味で用いられますが、逆説的に非常に良いという意味で使うこともあります。

思いがけないという意味だけでなく、悪いことに対しても良いことに対しても使うところも「存外」との共通点です。

【例文】

  • 悪いことに対して使う場合:昨日は飛んだ失態をおかしてしまった。
  • 良いことに対して使う場合:この子は飛んだ才能の持ち主だ。

「図らずも」

「図らずも」<はからずも>とは、①その結果を予想していなかった・思いもかけなかった、②突然にということを表す副詞です。「存外」は、②の意味は持ちませんが、①の意味においては共通しています。

【例文】

  • デート中に、図らずも元カノと鉢合わせた。
  • 見知らぬ人に親切にしてもらい、図らずも涙がこぼれた。

「存外」の関連語

ここでは、「存外」の反対の意味に相当する言葉を紹介します。

「案の定」

「案の定」<あんのじょう>とは、予想通りに物事が進むという意味です。おもに、「悪い予想が当たった」というニュアンスで用いられます。

【例文】

  • 時間にルーズな彼は、案の定、今日も遅刻してきた。
  • 日が陰ったと思ったら、案の定、雨が降り出した

「果たして」

「果たして」<はたして>とは、①予想した通りの結末を迎えた、②(仮定表現を伴って使う場合)本当に、③(疑問を伴って使う場合)一体、といった意味です。「存外」の反対の意味に近いのは①ですね。

①は「案の定」と同義ですが、こちらは「期待通り」というニュアンスでも用いられます。

【例文】

  • 果たして彼の懸念は現実のものとなった。
  • 果たして彼女が出展した作品は素晴らしい物だった。


人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ