「生来」とは?意味や使い方をご紹介

「生来」という言葉をご存じでしょうか。やや文語的な表現ですから、聞き慣れない方も多いかもしれません。「生まれつき」と言えばわかりやすいと思いますが、ほかにもいくつが意味があります。この記事では、「生来」の意味や使い方を例文や類語などとともにご紹介します。

目次

  1. 「生来」とは
  2. 「生来」の使い方
  3. 「生来」の類語

「生来」とは

「生来」には、読み方が二通りあり、「せいらい」「しょうらい」と読みます。意味は次のとおりです。

  1. 生まれたときからの性質や能力。生まれつき。本来の性質
  2. 生まれてから今まで
  3. この世に生まれてくること

「うむ。うまれる」を意味する「生」と、「来る。今まで」を意味する「来」を組み合わせてできた熟語です。

「生来」の使い方

1:生まれつき

「生来」は、「生まれつき」という意味で使われることが一般的かもしれません。「生来」のうしろに性格や健康状態を表す言葉を伴って、副詞的に用いることも多いでしょう。

【例文】

  • 私は、生来短気な性格の持ち主で、待ち時間が苦手だ。
  • 彼女は、生来まじめな人なので、何事もきちんとしないと気が済まないようだ。
  • 弟は生来病気がちで、体育の授業はいつも見学していた。

2:生まれてから今まで

2の意味での「生来」は、生まれてから現在までの経験などについて述べるときに使われます。「生まれてから今まで」や「生まれてこのかた」と言いかえることもできますね。

【例文】

  • 私は、生来金運がなかったが、今度の宝くじで1等に当選した。
  • いつも元気いっぱいの彼は、生来病気一つしたことがないという健康自慢の人だ。
  • 金持ちの家に生まれた彼女は、生来働いて金を稼ぐことの大切さを考えたことがないようだ。

3:この世に生まれてくること

3の意味は、現代ではほとんど見聞きすることがありませんが、浄瑠璃や古典では見られます。ここでは、現代語で「生来」を使った例を挙げてみます。

【例文】

  • 代々医者の家系の人間として生来した男だったが、医学部には進まず、法学部に進んだ。
  • 能楽師の長男として生来した彼は、幼いころから厳しい稽古を積み、70年の歳月を経て人間国宝に選ばれた。

「生来」の類語

「生得」

「生得」は、「しょうとく」と「せいとく」の二つの読み方があります。「生まれながらに持っている性質。生まれつき」という意味があり、「生来」の1の意味での類語です。

【例文】

  • 彼は、生得の臆病者なので、肝試しではいつも泣いていた。
  • 自分が感じたものをすぐに言葉にできる彼女は、生得の詩人だ。

「持ち前(持前)」

「持ち前(持前)」には、2つの意があります。「生来」の1の意味と、以下の2の意味が共通しています。

  1. その人の所有・担当する範囲
  2. 生まれつき持っている性質

人の性格や性質を指して用いることが一般的です。「持ち前の~」に続く言葉は、どちらかと言うとプラスイメージのものが多いでしょう。

【例文】
  • 失敗して落ち込んでいたが、彼女の持ち前の明るさのおかげで元気を取り戻すことができた。
  • 最近、営業成績が振るわなかったが、持ち前の粘り強さで頑張った結果、久しぶりに新規の顧客を獲得した。

「気性」

「気性(きしょう)」には、「生まれつきの性質・性格」「気が強いこと」という意味があります。「気性が荒い」など、気の強さを表すときにもよく使われます。「生来○○な性格」という言い回しに近い部分がありますね。

【例文】

  • 進取の気性に富んだ彼女は、従来の枠にとらわれることなく、新しいアイデアを次々と提案した。
  • あの男は一見ひ弱に見えるが、なかなかしっかりした気性の持ち主だよ。
  • 彼の激しい気性に耐えられず、周りの人間は離れて行ってしまい、彼は孤立した。

「天然」

天然」とは、「本来の姿であること」「生まれながらにして持っているもの」という意味です。「天然のウナギ」や「天然資源」など「人の手が加わらない自然のままの状態」のことを指すほか、人が生まれもった特徴も表すことができます。

辞書的な意味からは離れますが、「天然ボケ」を略して「天然」と使うことも多いです。これも「生来の性格」に近いニュアンスがあるでしょう。下記の文での「天然」は、この意味で用いられています。

【例文】

  • 厳粛な雰囲気の中で、彼女の場違いな天然ぶりは注目の的だった。
  • 天然な彼の話は、周りの友達との話といつも微妙にずれている。

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