「恩義」の意味
「恩義(おんぎ)」は、「恩誼」と表記することがありますが、より一般的なのは前者の方です。意味は、「報いるべき義理のある恩」です。少し難しいので「義理」と「恩」のそれぞれについて解説していきます。
「義理」とは
時代劇を良く見る方は「義理人情(ぎりにんじょう)」という言葉を耳にしたこともあるでしょう。この「義理」には以下のような意味があります。
- 物事の正しい筋道。道理
- わけ。意味
- (儒教)人のふみ行うべき正しい道
- 社会生活上、人が他に対し、交際上の色々な関係から、嫌でも務めなければならない行為。体面。面目
- 血族でないものが血族と同じ関係を結ぶこと
「恩」とは
「恩を売る」や「恩に着る」などよく使いますが、そもそも「恩」とは「めぐみ。いつくしみ」という意味があります。「恩」というのは行為を受け取った側が感じるものであり、「恩に着る」「恩を受ける」は、そのような場合に使う言葉です。
つまり「恩義」の意味である「報いるべき義理のある恩」とは「相応のことで返すべき道理のあるめぐみ=相手に相応のお返しをするべき正しい情」のことを言います。
「恩義」の使い方
「恩義」は、意味からもわかるように、相手が「この情けは必ず返さなければならない」と思うことで初めて成立する言葉です。そのため「恩義に報いる」「恩義を感じる」など使い方は受け身になることが多いです。
また「恩」と「恩義」を混同しないように気を付けましょう。「恩」は、あくまで「情け」を表す単語のため、「恩を売る」「恩に着る」のように使われます。しかし「恩義」は「受け取った恩」のことのために「恩義を売る」とは使いません。
「恩」は「(意図するか否かに関係なく)与えるもの」、「恩義」は「報いるもの・返すもの」と覚えておくとよいでしょう。
例文
- あの時、先生から助言を頂けなかったら、私の人生は180度違うものになっていたでしょう。先生には言葉では表せないほどの恩義を感じています。
- これまでの指導や鞭撻(べんたつ)といった恩義に報いるためにも必ずや国家試験に合格して見せます。
- 社会人になったばかりの私に色々な事を教えて下さった先輩からの恩義を忘れることはないでしょう。
「恩義」の類語
「厚意」
「厚意(こうい)」とは「思いやりのある心」という意味です。「貴方様のご厚意に感謝いたします」というような使い方をされますが、相手に感謝の気持ちを感じる物事という点で「恩義」に近い言葉と言えます。
ただし、「恩義」に比べると「厚意」は「相手の思いやりに報いようとする気持ち」が弱い言葉です。例えば「厚意」は受け取るだけで、相手に相応の態度を返す必要は必ずしもありません。
「折角のご厚意なので」という言い回しは相手の思いやりが一方通行になっており「恩着せがましい」と思われている可能性があります。
「恩義」の対義語
「怨恨」
「恩義」の対義語は、「怨恨(えんこん)」です。意味は、「(相手の仕打ちを)憎いと思ったり、怨みに思うこと」です。刑事ドラマを見る人は「怨恨の線か」などセリフとして覚えているかもしれません。
「怨」と「恨」ともに「うらみ」という漢字が用いられていることからも負のイメージが伝わってくる熟語です。相手の行動に不満を持って怨み、憎しみを抱く行為は「恩義」の感謝の気持ちとは正反対です。
「恩義」の英語表現
「恩義」を英語にするのは少し難しいです。例えば「恩義」は「indebted」や「obligation」と表記されますが他にも言い換えの仕方があります。
一般的なのが「恩義」を「感謝に対する義理を返す」として「repay debts of gratitude」と表記する方法です。これだと応用が利き良いかもしれません。
【例文】
I don't forget to repay debts of his gratitude.(私は彼からの恩義を忘れてはいない。)