「義理」とは?
「義理」は複数の意味を持つ言葉です。
- 物事の正しい道筋、人として守るべき正しい道。道理。すじ。
- 社会生活を営む上で、立場上、また道義として、他人に対して務めたり報いたりしなければならないこと。道義。
- つきあい上しかたなしにする行為。
- 血族でない者が結ぶ血族と同じ関係。血のつながらない親族関係。
- わけ。意味。
そしてこういった「義理」を欠いた者には、村八分という絶交処分が下されました。今日では一般に交際関係や体面上必要とされる行為やものごとを広く含めて「義理」といいます。
「義理」の使い方
「義理を通す」「義理にはずれた行為だ」という場合の「義理」は「物事の正しい道筋」の意味で使われます。(例:決して義理にはずれた行為をするなと父から教わっている)
「義理が悪い」「義理をわきまえる」といった時の義理は「道義として他人に務めたりしなければならないこと」を指します。(例:あなたにそんなことを言われる義理はないです)
「義理で参加する」という風に使われる「義理」は「つきあいでしかたなくする行為」を意味しています。(例:友達の義理で式典に出席することになった)
「義理の母」といった場合の「義理」は「血のつながらない親族関係」のことを意味して使われています。(例:姉が結婚して義理の兄が出来た)
「義理」の英語表現
英語では、親族関係を表す時の「義理」は"~in-law"と表現します。"a brother-in-law"「義理の兄」 "a mother-in-law" 「義理の母」 "a son-in-law" 「義理の息子」
果たすべき道義としての「義務」を表す時は"duty"を使い、立場上生じる「義理」には"obligation"を使って表現します。
「義理」が使われる言葉
「義理と褌欠かされぬ」
「義理と褌(ふんどし)欠かされぬ」とは「男子が常に褌を締めなければならないように、義理を欠いてはならない」という意味のことわざです。昔の男性が常に身につけていなければならなかった褌を引き合いにし、義理の重要性を強調した言葉です。
「義理一遍」
「義理一遍(いっぺん)」とは「世間体を飾るため形式的に物事をすること、そのさま」を意味する言葉です。「義理一遍なあいさつをする」などと使います。
「義理人情」
「義理人情」とは「体面やなさけ」、「社会生活上、果たすべきつとめ」という意味を持つ言葉です。この「義理」は「対人関係の上で、人が他に対して立場上務めなければならないと意識された行動の基準」を意味しています。
「人情」とは「人間に自然に備わっている感情」のことです。「義理人情」は日本の社会に固有な生活規範です。
「義理チョコ」
バレンタインデーに、女性が恋愛感情を持たない男性に対して儀礼的に贈るチョコレートのことを「義理チョコ」と言います。
「義理チョコ」の「義理」は「つきあい上する行為」を意味しています。日頃の感謝を伝えるためや、コミュニケーションの円滑化を目的として渡されるチョコレートです。相手に対して好意があると勘違いされないために、渡し方や渡す物に一定のマナーが見られる場合があるようです。
付き合いで配る「義理チョコ」に対して、女性が本当に好きな相手に贈るチョコレートのことを「本命チョコ」と言います。また、女性が同性の友人などに贈るチョコレートを「友チョコ」と呼びます。