「厚意」とは?
「厚意」は「こうい」と読み、「思いやりある心」「情に厚い心」「親切な心」という意味があります。「厚意に感謝する」「厚意を無にする」などの使い方は聞いたことがあるのではないでしょうか。
「厚意」と「好意」の違い
「厚意」と同じ読み方で、「好意」があります。「好意」は、「好感・親しみの気持ち」「親切な心」という意味で、「厚意」と似たような意味合いですが、微妙にニュアンスの違いがあります。
「厚意」の「厚」は、訓読みで「あつ(い)」と読み、「土が分厚くたまった崖」を表しています。「分厚いさま」「丁重なさま」「心づかいが深いさま」を意味します。
「好意」の「好」は、訓読みで「この(む)」「す(く)」と読み、「女性がこどもを大切にして可愛がるさま」を表しています。「好む」「愛する」「大切にする」という意味があります。
このことからお分かりのように、「厚意」には、「丁重な心遣い」や「深い思いやりの心」が含まれ、「好意」には、「親愛感」や「愛情」が含まれています。
「厚意」と「好意」の使い分け
「厚意」と「好意」は、使い方にも違いがあります。「厚意」は、自分の気持ちには用いませんが、「好意」は、自分にも他人に対しても用いる言葉です。
例えば、「好意」は、「彼の好意に甘える」や「彼に好意を持つ」という言い方ができます。前者は、彼の自分に対する好意(親切心)を表し、後者は、彼に対する自分の好意(親愛感)を表しています。
これに対して、「厚意」は、「彼の厚意に甘える」という言い方はできますが、「彼に厚意を持つ」という言い方はできません。
「厚意」は、親愛感や愛情とは関係なく、他人が自分に対して示してくれる思いやりの気持ちだからです。
「厚意」の使い方(例文)
「厚意」は、「厚意に感謝する」「厚意に報いる・応える」「厚意を無にする」などの言い方で使われます。「ご厚意」と丁寧語で使われることも多く、相手に対して「感謝・お礼」「断り」「謝罪・お詫」などの気持ちを表す場合に使います。また、挨拶文の文頭や文末の言葉に使います。
■「厚意」の例文
〇私は、忘れ物を家まで届けてくれた友達の厚意に感謝した。
〇彼は、応援してくれる同僚の厚意に応えるためにも、プロジェクトを成功させたいと思った。
〇食事に誘ってくれた叔母の厚意を無にし、姉は友達と出掛けた。
■「ご厚意」の例文
〇多くの方々のご厚意を賜り、本日の記念式典を開催することができました。(感謝・お礼)
〇母は、「せっかくのご厚意に報いることができず、申し訳けなく思います。」と言った。(断り・謝罪)
〇昨年は、格別のご厚意を賜り、心より御礼申し上げます。(挨拶文・文頭)
〇末筆ながら、日ごろのご厚意に感謝申し上げるとともに、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。(挨拶文・文末)
「厚意」の類語
「厚意」と同じような意味合いで使われる言葉に「厚情(こうじょう)」「温情(おんじょう)」「厚志(こうし)」などがあります。それぞれの言葉の意味と例文をご紹介いたします。
■厚情・・・心からの親切、あつい情け~厚意よりも丁寧な印象で、あらたまった挨拶文や式典などでよく使われる。
〇来賓の皆様方におかれましては、平素より格別なご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
■温情・・・思いやりある優しい心~特に目上の人からの親切や計らいに対しての表現。
〇部長のご温情に支えられながら、新規のプロジェクトを成功させることができました。
■厚志・・・思いやりある親切な気持ち~一般的には、金品などの心遣いを指すことが多い。
〇皆様からいただいたご厚志は、福祉施設の拡充に活用させていただきます。