「安直」の意味
「安直(あんちょく)」の意味は、「値が安いこと。安価」「安易なさま。手軽なさま」です。私たちが普段、「安直な考え」や「安直な行為」として使う「安直」は後者の意味です。
「安易なさま」とありますが、「安易」には、「たやすいこと」以外に「いい加減なこと」という意味が含まれます。そのため「安直」を「いい加減な」というニュアンスで使う傾向が強くなったと考えられます。
「安直=いい加減」というイメージが強いため忘れられがちな意味の「安価」は、「安直な定食屋=価格の安い定食屋」という使い方がされますが、「適当な・いい加減な定食屋」ではありません。
「あんちょこ」とは?
皆さんは「あんちょこ」という言葉を知っていますか。「安直」が訛って出来た言葉です。実はこれ「教科書を解説した参考書」を指します。教科書には知らない単語や公式が沢山出てきますが、昔は辞書片手に1つずつ調べて頭に叩き込んでいました。
しかし、この「あんちょこ」には、単語や公式の要点がまとめて掲載されており、スムーズに勉強が行えるようになっています。いわゆる「ガイドブック」のようなものです。
今では当たり前になっていますが、練習問題や解説が別冊になって本書の最後のページに挟まっている本の事です。しかし「あんちょこ」という呼び名は最近聞かなくなりつつあります。
「安直」の使い方
例文
- 息子が、将来についてあまりにも安直な考えを持っていたので、説教をして考え方を改めさせた。
- この場面で、安直な行動をとると後々面倒なことになるに決まっている。
- このお店は、とても安直で周辺にある大学の学生にとても人気が高い。
- 彼女の見た目で不良だと考えるのはあまりにも安直すぎる。
「安直」の類語
「安易」
「安易(あんい)」には、2つの意味があります。「たやすいこと。わけなく出来ること」「のんきなこと。いい加減なこと」です。
「安易」は、「安直」と混同されやすい言葉の1つです。2番目の意味は「安直」とほぼ同じで、例えば「安直な考え」と「安易な考え」を比べれば同じことがわかるでしょう。見分けるには1番目の意味を理解することが大事になります。
1番目の意味には、「妨げるものがない」というニュアンスがあり、「安易に出来る=簡単に出来る」という意味で使われますが、「安直」にはそのようなニュアンスがありません。このように「安易」と「安直」は少し違いがあります。
「軽率」
「軽率(けいそつ)」には、「軽々しいさま。軽はずみなさま」という意味があります。注意深く考えずに軽い気持ちで行動してしまう様子を指します。「軽率な行動」「軽率な判断」のように使われることが多く、その行為を非難する気持ちを含んでいます。
「安直」とは「いい加減な」という意味で近い言葉と言えます。ちなみに「軽率」の対義語は「慎重」で「慎み深く、重々しいさま。注意深く軽々しく行動しないさま」を表します。
また辞書によっては、「軽卒」とも書くと表記されていますが、一般的に「軽卒」の意味は「身分の低い兵士・身軽な服装の兵士」ですから、混同しないためにも「軽率」と表記した方がよいでしょう。
「他愛もない」
「他愛もない」の読み方は、「たわいもない」もしくは「たあいもない」です。元は「他愛無い(たわいない)」が変化した言葉ですが、「たわい」に当て字として「他愛」を付けたものです。
意味は「とりとめのない。思慮がない。手ごたえがない」です。「とりとめ」は、漢字で「取り留め」と書き「まとまり」という意味になります。つまり、「他愛もない」は「まとまりがなく、注意深く考えることがない」ことを指します。
「安直」とも共通する部分がありますが、「軽率」の方がより近い言葉と言えます。よく日常生活において「他愛もない話よ」と使いますが、「一貫性のない、深く考えることのない話」のことを指しています。