「レッテル」の意味
「レッテル」の意味は以下の通りです。
- 自社の製品や商品だと証明のために貼り付ける商品名などを記載した紙
- 他人の外見などから勝手に「~のような人・物」と決めつけること
「レッテル」の本来の意味は1、簡単に言えば、商品ラベルのことです。近年は、商品名や内容、製造元などの商品情報はパッケージに直接印刷してあることも多くありますが、それらが書かれた紙が貼り付けられていることもありますね。
このラベルを貼る動作を、「彼は頑固者だ」「この地域は危険だ」というように性質や特徴について一面的に評価することのたとえとして用いられるようになったのが2の意味です。
「レッテル」の語源
「レッテル」の語源はオランダ語で「文字」を表す"letter"で、明治期に取り入れられました。昭和に入ってから、徐々に、名札や商品につける札などを指す英語の"label"に由来する「ラベル」の方が広く用いられるようになったのです。
「レッテル」の使い方
「商品名などを記載した紙」という1の意味で「レッテル」を用いる機会は減りました。上で説明した通り、代わりに「ラベル」という言葉が使われることがほとんどです。
現在では、「レッテル」は、2の「〜のような人・物と決めつけること」という意味で用いられます。これは、どちらかと言えば、悪い評価を付ける場合や、その評価を好意的に捉えていない場合に使う言葉です。
【例文】
- 古びた箱のレッテルの文字は消えかかっていた。
- 薬品棚には英語のレッテルを貼られた瓶が並んでいた。
- 彼女は神童というレッテルを重荷に感じていた。
- 世間のレッテルなど当てにならないものだ。
「レッテルを貼る」
2の意味の「レッテル」は、「レッテルを貼る」という言い回しで使われることが多くあります。「はる」を「張る」と表記してあることもありますが、2の意味に転じた経緯を考えれば「貼る」が適切でしょう。
【例文】
- よく知りもしない相手にレッテルを貼って喧伝するのはやめなさい。
- 様子を見ようと黙っていたら、周囲の人から無気力な人とレッテルを貼られた。
- ひとつの絵画だけを取り上げて「○○派」などどレッテルを貼られたくない。
「レッテル貼り」
「レッテル貼り」は、「レッテルを貼ること」や「レッテルを貼りがちな人」という意味です。おもにSNSなどにおいて、レッテルを貼る行為を嫌悪するニュアンスで用いられます。
【例文】
- 休暇が平日だっただけなのに、「平日昼に発言するなんてニートだ」とレッテル貼りされた。
- SNSで人格障害と筋違いな非難をされたので、「レッテル貼り乙(おつ:皮肉としてのお疲れ様の意)」と書き込みした。
「レッテルを剥がす」
「レッテルを剥がす」は「レッテルを貼る」に対する言い回しで、不名誉を払拭する、汚名返上といった意味で用いられます。
【例文】
- 冤罪であっても、一度貼られた犯罪者のレッテルを剥がすのは大変なことだ。
- 失策のレッテルが剥がされるのは、ずっと後世になってからのことだった。
「レッテルを貼る・レッテル貼り」の類語
「偏見」
「偏見」<へんけん>は、客観的な根拠がないにもかかわらず、ある物事に対してかたよった判断をするという意味です。これらの判断には、悪い印象や嫌悪感を伴うことが多く、軌道修正は容易ではありません。
「レッテルを貼る」を言い換えるには、「偏見を持つ・抱く」のような言い回しを用いることができます。
【例文】
- 国籍だけで偏見を持つのはやめてほしい。
- 確かに彼は意見をはっきり言うタイプだが、我が儘というのは偏見だ。
「バイアスがかかる」
「バイアス」"bias"は、先入観や偏りのことです。先入観に囚われている・考えが偏っていることを「バイアスがかかる」と言います。「色眼鏡で見る」とも言い換えられますね。
【例文】
- 彼らの仕事への考え方にはだいぶバイアスがかかっている。
- 彼女に対する評価にバイアスがかからないように、私の意見は差し控えます。
「ラベリング」
「ラベリング」"labeling"とは、ラベルを貼るという意味です。物理的にラベルを貼るという意味もありますが、上述の「レッテル貼り」と同じように、決めつけに対する嫌悪を表すこともあります。
【例文】
- 調味料をガラス瓶に移してラベリングする整理法が流行っている。
- 服装が派手だというだけで、彼女を不真面目だとラベリングするのは不当な評価だ。