「天性」とは?意味や使い方をご紹介

動物のドキュメンタリー番組などで、「トラは天性のハンターです」のようなナレーションが入ることがありますね。この「天性」とは「生まれついての」といった意味を持つ言葉です。今回は、この「天性」の意味や使い方について解説します。

目次

  1. 「天性」とは
  2. 「天性」の使い方
  3. 「天性」の類語
  4. 「先天性」と「後天性」

「天性」とは

生まれつきこんな才能に恵まれていたらどんなに良かったか、と想像したことのある方も多いでしょう。生まれついての才能のことを、天性の才能などと言います。

「天性」<てんせい>とは、生まれつきの性質ということですから「生まれ持ったもの・天から授かった性質」という意味です。また、副詞として「まったく」という意味もありますが、現代ではあまり用いられないようです。

なお、「天性」を発音するときは、「丹精」と同じく、先頭にアクセントを置きます。

「天」の字義

「天」という漢字にはさまざまな字義がありますが、そのうちの一つは「生まれつき・生まれついての」という意味です。

この意味で「天」を用いている言葉で、「天性」と同義、または類義の言葉には、次のような言葉があります。

  • 天賦<てんぷ>:天から授かったもの。生まれついての資質。
  • 天然:生まれつき。自然のままの状態。
  • 天資<てんし>:生まれ持った性質。
  • 天才:生まれつき持っている、人並外れた才能。

「天性」の使い方

「天性」はポジティブなことに対しても、ネガティブなことに対しても用いることができます。

【例文】

  • 私の母は天性のお人好しだった。
  • 彼は天性の推理作家ともいうべき豊かな才能の持ち主だった。
  • 交渉の大事な場面で、彼の天性のわがままが顔をのぞかせた。
  • 彼女の自由奔放さは天性のものだ。

「天性」の類語

「天」という漢字を含む類語は上でご紹介しましたので、ここでは、「天」の字を含まない類語を挙げましょう。

素質

「素質」<そしつ>には「生まれ持った性質」という意味と、「将来発揮される見込みのある能力や性質」という意味とがあります。前者の意味は、「天性」と同じと考えていいでしょう。

生来

「生来」<せいらい・しょうらい>とは、「生まれつきの性質」という意味があります。こちらは、「天性」と同じように使うことができます。

ただし、「生来」の場合は、「生来家族というものに縁がない」のように、「誕生して以来・生まれてこのかた」という意味もあります。「天性」にはこのような意味はありません。

持ち前

「持ち前」には、「各々が所有している部分・担っている役割の範疇」といった意味があります。しかし、「持ち前の粘り強さを発揮する」などの文脈では、「もともと備わっている・生まれつき持っている」ということを表します。

後者の意味においては、「天性」とほぼ同じ意味と言えるでしょう。

ナチュラルボーン

1994年のアメリカ映画に『ナチュラル・ボーン・キラーズ(原題:Natural Born Killers)』という作品がありました。あるカップルが殺戮を繰り返しながら逃避行するというストーリーです。

英語の'natural-born'は「生まれついての・生得の」という意味ですから、このタイトルは、「生まれながらの殺人者たち」と直訳することができます。

カタカナ語の「ナチュラルボーン」は、英語と同じ意味で用いられます。「ナチュラルボーンヒーロー」や「ナチュラルボーンな天才」といった具合です。

ただし、SNSなどでは、カタカナ語の「ナチュラルボーン」を、「生得」という意味から離れて、「あたかもそうなることが必然であるような」「意図せず自然な感じで」などのニュアンスで用いている例も見られます。

「先天性」と「後天性」

ここまで記事をお読みいただいて、「そういえば、先天性や後天性はどういうこと?生まれついての性質に後も先もないんじゃない?」と思われたかもいるかもしれませんね。

実は、これらの言葉は、「先」+「天性」、「後」+「天性」で成り立っているわけではありません。「先天」+「性」「後天」+「性」という言葉の組み合わせでできています。

「先天」は「生まれる前から身についていること」ですから、「先天性」とは「生まれる前から持っている性質」、つまり、「遺伝的な性質」のことです。

対して、「後天」は「生まれた後に身につくこと」を指しているので、「後天性」とは「生まれた後に経験などによって身についた性質」という意味です。


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