「奇異」とは?
「奇異」とは、普通と違っていて妙であることやその様子を表します。単に妙である・変わっているという意味を覚えるだけでは、「奇異」の意味を正しく理解したとは言えません。ポイントは普通とは違っているという部分です。
たとえば、スイカを頭に思い浮かべてみてください。多くの場合、サッカーボールくらいの大きさで濃緑色の黒い縞々を持つフルーツがイメージしますよね。そこに、ピンポン玉サイズのスイカや、赤と黒の縞々模様のスイカが現れたらどう思いますか?
きっと「私が知っているのと違うぞ」と妙に思うのでしょう。その印象こそが、まさに「奇異」なのです。
「奇」の字義
「奇」は、実にさまざまな意味を持つ漢字です。「奇異」という熟語では、珍しい・普通ではない・不思議なという意味で用いられています。
「奇」には「キ」という音読みの他に、「あやしい」「めずらしい」と訓読みもあります。「くし」という読み方もありますが、この場合は、「奇しくも」という使い方が一般的です。
「異」の字義
「異」には、普通ではない・珍しい・あやしいという意味があります。「奇異」という熟語は、似た意味を持つ漢字を組み合わせた言葉であることがわかるでしょう。
「異」の音読みは「イ」です。他にも「ことなる」や「あやしい」など、いくつかの訓読みがあります。
「奇異」の使い方
「奇異」を名詞として用いることもありますが、「奇異だ」の形で形容動詞として用いることもあります。
【例文】
- こうも奇異な現象を立て続けに目の当たりにすると、本当に現実なのかと疑いたくなる。
- いくらおすそ分けされたキノコが奇異だったとしても、そのまま捨ててしまうのどうかな。
- よそから来た人にとっては、われわれの習慣は奇異に映ったかもしれない。
「奇異」の使い方を考える際には、「普通ではない」「見たことがない」という言葉に置き換えてみると分かりやすいでしょう。
「奇異の目にさらされる」
「奇異の目にさらされる」とは、世間から物珍しげな様子で見られるという意味の慣用句です。良くない意味で使われる場合も少なくないので、使う際には注意が必要でしょう。同様の意味を持つ言葉に「好奇の目で見られる」「衆目にさらされる」などがあります。
【例文】
- ハロウィンでもないのにこんな服装で歩いていたら奇異の目にさらされてしまうよ。
- 珍しく公の場に姿を現した彼は奇異の目にさらされていたが、彼自身は気にもしていないようだ。
「奇異」の関連語とは?
「奇異」と意味の近い関連語
- 珍妙(ちんみょう)…ほかと変わっていておかしいこと。珍しくて素晴らしいこと。
- 特殊(とくしゅ)…普通と異なること。全体ではなく限られたもの。
- 突飛(とっぴ)…思いがけない様子。とても風変わりな様子。
- 風変わり(ふうがわり)…雰囲気や様子が普通と違っていること。
- 変梃(へんてこ)…おかしな様子。妙な具合。
- ユニーク…独特な。ほかに類のない。
「奇異」と意味の対立する関連語
- 普通(ふつう)…珍しくないこと。特に変わりのないさま。
- 通常(つうじょう)…いつも通りであること。
- 常套(じょうとう)…古くからの習慣。ありふれた方法。
- 陳腐(ちんぷ)…ありふれていてつまらない様子。
- 平凡(へいぼん)…特に優れていたり変わっていたりすることがない様子。
- 凡庸(ぼんよう)…優れた点もなく平凡なこと。
「奇異」を英語で表現すると?
「奇異」には、対応する英語表現がいくつか存在します。その中でも代表的なものが、「strange」や「odd」、「curious」です。これらには、「奇異な」の他にもしばしば「風変わりな」「見知らぬ」という訳語が当てられます。
- There is something strange about this plant.(この植物には、どこか奇異なところがある。)
- Odd though it may appear, I decided to go there alone.(奇異に思えるかもしれないが、私はひとりでそこへ行くことにきめたんだ。)
- There is a curious pattern on the back of the cow.(その牛の背中には奇異な模様がある。)