「落ち度」とは?
「落ち度(落度)」は(おちど)と読み、失敗、過失、あやまちを表す言葉です。一般的には「落ち度」と書くことがほとんどですが、「越度」と表記されることもあります。
「越度」はもともと(おつど)と読み、そこから転じて「落ち度」になったと言われています。「失敗」の意味は、この「越度」に由来しているとされます。
律令制時代、法や制度のことを「度」と呼びました。その「度」を越えること、なかでも許可なしに関所を越える関所破りのことを、法を越える、すなわち「越度」と称しました。それがのちに「過失」「失敗」「あやまち」を示すようになったといいます。
「落ち度」の表記が一般化したのは、江戸時代、もしくは明治時代からであり、何かが不完全であることを意味する「手落ち」などの「落」に影響されてのことだという説があります。
「落ち度」の使い方
「落ち度」における失敗の程度は、かなり大きなものといえます。重い失敗なのか、軽い失敗なのかを客観的に定義することは難しいですが、どのレベルなら「落ち度」がふさわしいかを考えて用いましょう。
たとえば、友達に明日CDを貸してあげる、と約束したのをうっかり忘れても「落ち度」と表現はしませんが、友達にとって宝物のようなCDをなくしてしまった場合は、明らかに「落ち度」です。
もう一つの注意点は、定型の言い回しがあることです。たんに名詞として、「~の落度」、「落ち度を」などの使い方以外では、「~の落度があった」、「落ち度はなかった」、などと有無を用いて述べましょう。
失敗やあやまちは人間によるものですが、制度や状況に大きな問題が起こった場合でも「落ち度」を用いることもあります。
「落ち度」の文例
- 大切な顧客への訪問日を間違えるという中村君の落ち度によって、大口注文を逃した。
- 君の落ち度がどれほど重大で深刻なものかを、くれぐれも自覚してほしい。
- 今回起こった工場の火災に、従業員側の落ち度はないようだ。
- A大学の入試問題に落ち度があり、2年前と同じ内容が出題されたそうだ。
「落ち度」の類語
「落ち度」の類語は複数ありますが、使い方においては少しずつ異なる点もあります。わけても、それが故意であるのか、あるいは単なるうっかりによる失敗なのか、その違いを理解して使い分けましょう。
「落ち度」の場合は、失敗、あやまりであるという結果に重点があり、それが故意かどうかにはかかわりませんので、どのシーンにおいても使うことができるでしょう。
「過失」の意味と使い方
「過失」(かしつ)とは、不注意によってなされた失敗、しくじりを意味する言葉です。すなわち、故意によるあやまちは含みません。
しばしば、「過失致傷」や「過失致死」という言葉をニュースで耳にしますね。あってはならないこととはいえ、わざとではなく、なんらかの失敗によって引き起こされた事故やできごとの結果、他者を傷つけてしまった場合の表現です。
【文例】小林君は、納品日を間違えるという過失により、重大な損害を出してしまった。
「不手際」の意味と使い方
「不手際」(ふてぎわ)とは、やりかたや出来がよくないことや、そのさまを表す言葉です。故意によるものではない失敗に用います。なんらかのミスや準備不足などで混乱が引き起こされた場合の謝罪などで、よく耳にしますね。
【文例】このたびのイベントでは、当社の不手際によって退場のさいに大きな混乱が起こりましたことを深くお詫びいたします。
「過ち(あやまち)」の意味と使い方
「過ち・誤ち(あやまち)」は、多義的な言葉ですが、「落ち度」の類語としては、間違い、失敗という意味が挙げられます。落ち度と同様に、故意のもの、そうでないもの両方に使うことができる言葉です。
【文例①】良子さんは、大切な書類を電車に置き忘れるという過ちによって、職場に大きな迷惑をかけてしまった。
【文例②】広島の原爆死没者慰霊碑の「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」という言葉を忘れてはならない。