「錚々」の意味
「錚々(そうそう)」とは、以下のような意味を持つ言葉です。
- よく鍛えた鉄などの響き。冴える音。
- 多くのものの中で、特に優れている様子。
現代においては1の意味で使われることはほとんどなく、おもに、2の意味で用いられます。
「錚々」の使い方
「錚々」は、おもに、「錚々たる面々」「錚々たるメンバー」のように、複数のものや集団を表す名詞を修飾するかたちで用いられます。また、「特に優れた」ことを指す言葉なので、並のものに対しては使いません。
なお「錚」という字は漢字検定1級レベルの難しい漢字ということもあり、多くの場合は「そうそう」とひらがなで表記します。
「錚々」の例文・使用例
- 来月のライブに集まるメンバーの錚々たる顔ぶれに、身が引き締まる思いだ。
- 錚々たる面々が、わたしたちのプロジェクトをサポートしてくれるそうだ。
- 彼がプロデュースした楽曲のプロモーションビデオには、錚々たるメンバーが参加している。
- 錚々たる先輩方から直接ご指導いただけるのは、身に余る光栄です。
「錚々」の語源
「鉄中錚々」にまつわる故事
「錚々」の語源は、「鉄中錚々(てっちゅうのそうそう)」という言葉です。これは、中国の歴史書『後漢書(ごかんじょ)』の、後漢の光武帝が赤眉の乱(せきびのらん)を平定したときの話に出てきます。
投降してきた賊軍(敵軍)に対し、光武帝が「投降したことに後悔はしていないか?」と問うと、「赤眉の乱に加担したことを後悔しており、投降したことについては後悔していない」と答えます。これを受けて、光武帝は「鉄中錚々」と言いました。
「錚々」は金属音を表しているので、文字通りに捉えると「鉄は金銀のような高級品に比べると劣るが、その中では少し良い音がする」となります。つまり、光武帝は、「お前達は凡人の中では良い方だ(賢明な判断をした)」というニュアンスで、賊軍を鉄に例えたのです。
「錚々」の意味の変化
上記のエピソードのなかで光武帝は「(凡人の中では)少しだけ優れている」という意味で「錚々」を使いました。しかし、これでは褒め言葉ではありません。
ところが、この言葉が日本に広まっていく過程でネガティブな意味の部分が削られ、現在では「多くのものの中で特に優れている」というポジティブな意味で用いられています。言葉の意味は時代によって変化するものですが、「錚々」はまさにその一例と言えます。
「錚々」の類語
精鋭
「精鋭(せいえい)」とは、「強くて勢いのいいこと」「えりすぐりのすぐれた人」を指す言葉です。「少数精鋭」や「精鋭部隊」などといった使い方をします。
【使用例】
相手のチームは精鋭ぞろいで、全日本ユースにも選ばれている選手が4人もいるそうだ。
名だたる
「名だたる」とは、「有名な」「著名な」を意味する言葉です。「名だたる面々」や「名だたる顔ぶれ」のように使われます。
【使用例】
昨夜のパーティーには、業界人なら誰でも知っているような、名だたる顔ぶれが勢揃いした。
音に聞く
「音に聞く」とは、「人伝えに聞く」「名高い。有名である」といった意味の慣用句です。「音」には、物音や声など物体の振動が空気などを伝わって耳で感じとられるものを指しますが、ここの場合は、うわさや評判を指しています。
【使用例】
茶屋で団子をかじっている男が、音に聞く百戦錬磨の剣豪か。
粒揃い
「粒揃い(つぶぞろい)」とは、以下の意味を持つ言葉です。
- たくさんの中の粒の大きさや質が、良質でよくそろっていること。また、そのもの。
- 集まった人々の能力や質がそろっていて、見劣りするものがいないこと。
【使用例】
相手は昨年の準優勝チームということもあり、さすがに粒揃いのメンバーをスタメンに用意した。