「峻別」とは?
「峻別」(しゅんべつ)とは、厳重に明瞭に区別をすること、またその区別のことを意味する言葉です。日常会話で使われる機会はかなり少なく、とりわけ若い世代の人々にとっては馴染みが薄いものかもしれません。
意味を推測しづらくしているのは「峻」の存在といえるでしょう。まずは、この漢字について詳しく解説します。
「峻」の字義
「峻」は、音読みでは(しゅん)、訓読みでは(けわしい、たかい、きびしい、おおきい)と読みます。
【意味】
- (おもに山が)けわしい、高い。
- 厳しい。
- 大きく立派な。
「峻別」に用いられているのは、2の「厳しい」という意味です。「峻別」が、厳しく区別することを表しているのは、これで理解できますね。
「峻別」の使い方
「峻」に、険しく高い山、という意味があるように、「峻別」における区別のしかたは敢然、毅然とした実に厳しい区分けです。
その厳しさは、区別の条件や方法を指しています。言葉そのものも硬い表現ですので、ビジネスにおける伝達や報告文書などで使われることがあります。
また、その意味の性格上、目下のものが年上や上役に対して用いていいものではありません。また、ビジネス文書などでは、何と何を「峻別」するのかを明瞭に示すことも必要といえましょう。
「峻別」の文例
- クレームがあった場合は、顧客の感情的な部分と実際の問題点を峻別しつつ、誠実な対応をとることが必要だ。
- 上司が部下の人事評価をする際には、部下との相性と仕事への評価を峻別せねば、公平で有用な人事運営はできない。
- 海外出張はつい旅行気分になりがちだが、公私を峻別し、気を引き締めて臨むべきだ。
- 仕事においては、個人的な希望と実際に託されている任務の目的は峻別されるべきものである。
- 世界的に環境汚染が進んだ今、人間が峻別すべきは、目先の利便性と将来のさらなる環境破壊のどちらをとるかということだ。
「峻別」の類語
「弁別」
「弁別」(べんべつ)とは、違いをわきまえて、明確に見分け、区別することです。識別と言い換えることもできる言葉であり、違いを見分けるというニュアンスに重点が置かれています。
【文例①】よき社員を育成するためには、それぞれの個性、適性をよく弁別しながら教育していくことが肝心だ。
【文例②】自身の夢と実際の能力の弁別がなければ、起業が成功するとは言えない。
「分類」
「分類」とは、事物、事象などの対象を、性質や種類などによって分けることを意味します。全体を共通性にしたがって分ける、すなわち同類のものをまとめて区分する点に「分類」の特徴があります。
共通性による分類というところに重きが置かれる点が、厳しく違いを区分する意味の「峻別」とは異なっていますね。
【文例①】燃えるゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミという分類をしっかりと理解して、行動に移すことが大切だ。
【文例②】効率的な仕事のためには、まず机を整理しょう。自分の仕事を分析した上で、備品や資料を分類することが整理のコツだ。
「区別」
「区別」とは、あるものと他のものの異なりを判断して分けることを意味します。「峻別」ほど厳しい分け方をしないため、一般的な言葉となっています。
【文例】法律という基準がなければ、善悪の区別はなかなかつけづらいものだ。