末席とは?
末席(読み:まっせき・ばっせき)とは、「最も低い立場の人が座る席」「下の立場にいる人」を意味する言葉です。
多くの人が並んで座るときに、目下の人が座る席を表す言葉としては、ほかに末座(読み:まつざ)や、下座(読み:しもざ)があります。
末席が表す「下の立場」とは、階級や等級が下位に位置するという意味です。職場であれば役職や地位が下に当たる人、年功序列であれば年齢が若い人といった所でしょう。趣味の会やサークルならば、参加してからの日が浅い人を意味します。
末席の対義語
「上席」(読み:じょうせき)が「末席」の対義語です。その場所の中で最も上位の立場の人が座る席という意味します。
また、席次や役職、地位や階級などが上位であることや、グループの中で上の立場に属することも指し、そういった意味でも「末席」と対になる言葉です。
末席の使用例
主催者から招かれて、会合などに参加することを表す際に、立場が下であることを強調するために「末席」を使います。いわゆる謙譲表現ですね。
【末席を使った慣用表現】
- 末席に名を連ねる…目上の方の中に混じって目下である自分の名前が参加者に入っている。
- 末席を汚す(けがす)…多くの立派な方の中で自分のような場違いな者が席を汚している。
- 末席に控える…分不相応であるので、下位の席で目立たないように振る舞う。
【使用例】
- 恐れ多くも地方の名士や著名人のパーティの末席に名を連ねた。
- 私のような若輩者が末席を汚し、気後れしてしまいます。
- 記念式典では末席に控えておりました。
最も低い立場の人が座る席
「末席」という言葉は「最も低い立場の人が座る席」そのものを指すこともあります。一般的な例をいくつか挙げてみましょう。
- 部屋…出入り口に最も近い席(出入りが多く落ち着かないため)
- タクシー…助手席(他人である運転手のそばであるため。また、会計をする立場の者が座る席のため。乗客が3人なら一番窮屈な後部座席の中央に)
席ではありませんが、末席と同様の扱いになる例を挙げます。
- 階段やエスカレーター…上り下りに関係なく下に当たる位置(立場が低いことになぞらえて下側に)
- エレベーター…操作盤の前(昇降や扉の開閉などの操作をしなくてはいけないため)
ケース別:様々な末席
室内での末席は、一般的にドアから近い所です。しかし、来客でも末席に座る場合や、事情により末席の場所が変わる場合があります。
謝罪をする場合
他社を訪ねた際には、通常迎える側である相手方が末席に座るのが一般的です。しかし、相手先に迷惑をかけて、謝罪に行く場合、訪問をした側は自らを下の立場に見立てて末席を選ぶ必要があるでしょう。
客として応接室に案内されても、座らずに部屋の入り口の近くで立って控えます。訪問先の担当者に上席を勧められても、丁寧にお断りして相手に譲るのがマナーです。
お客様が末席を選んだ場合
会合や打ち合わせでお客様を招いた時に、上席を勧めても断られる場合も。「おトイレが近いので入り口に近い場所がいい」・「ケガや病気で足が悪くて出入りが大変」と、お客側のやむを得ない事情で一番出入り口に近い末席を選ばれることもあります。
無理に急き立てて上席に案内しようとすると非常に失礼です。どのように対処すべきかと言うと、上席と末席の席次の順番が逆になるように座るといいでしょう。
お客様が選んだ席をその場の最上の席として基準にします。お客様から一番離れた位置にある本来の上席が末席扱いとなります。
眺望の良さで席順が決まることも
周囲の景色の良さが評判になっている料亭やホテルなどの施設で、打ち合わせや会食をすることもあります。
出入り口から遠い上席の方が窓に背を向けたり、景色が見える場所から遠い位置にあったりして眺望を楽しめないこともあるでしょう。逆に、末席とされる席の方が綺麗な景色を見られることもあり得ます。
そのような場合の席順は位置よりも、眺望や景色の良さが優先されます。一番風景が楽しめるのであれば、末席でも上席の扱いとなります。