「上席」とは?
「上席」(読み:一般的には「じょうせき」が多い、「しょうせき」とも)には大別して以下の3つの意味があります。
- 上位とされる席
- 階級などが上位
- 席に上がる(現在はあまり使われません)
上位とされる席
「上席」とは、部屋や車内などの空間の中で、上位とされる席を指します。その中にいる人達のなかで最も高い立場の人が座るべき席となり、「上座」(読み:かみざ)とも言います。
階級などが上位
「上席」は会社組織や集団の中で、階級や等級、席次(上下関係や肩書に応じた席の順番)が上位であるということを表す言葉です。同じ役職でも上の立場の人を指して言うことがあります。「上席の検事」などがその使用例です。
同じ階級でも最も重い責任がある場合や、最も上の立場にいる場合に役職名で「上席」が付けられることも。例えば「上席部長」や「上席主任」のような名称が挙げられます。
席に上がる
「上席する」のように「上席」に助動詞「する」を付けて使われた場合、「上席」は、席に上がる(参加する)ということを表します。江戸末期(1855年~58年)に編纂された蘭和辞典「和蘭字彙」の用例に見られますが、現在ではあまり用いられていません。
じょう‐せき ジャウ‥【上席】
〘名〙 (「しょうせき」とも)
① (━する) 席に上ること。
※和蘭字彙(1855‐58)「Hij heeft in die vergadering voorgezeeten. 彼ハ其打寄ニ上席シタ」
「上席」使用される場面と例文
「上席」の使用場面や例文を、「上位とされる席」、「階級などが上位」と項目ごとに分けて説明します。「席に上がる」は、現代では使用する頻度が低いため割愛します。
上位とされる席
最も上位とされる席という意味で「上席」を意識する場面があるとしたら、社内外の方や目上の方と打ち合わせや会食などをする時ではないでしょうか。位置を間違えると恥をかくだけでなく、無礼な人という印象を持たれる恐れもあります。
いわゆる上席に座るのは年長者の方、取引先の相手の社長などの肩書や役職などの立場が最も高い方、お招きしたお客の中で最も中心になる方ですね。室内なら部屋の出入り口から最も遠い席、タクシーなどに乗車するなら運転席の後ろの席が上席とされています。
【例文】
- お客様を上席にご案内した。
- A社長に上席をおすすめしたら、ひどく恐縮なさっていた。
階級などが上位
「上席」を階級などが上位という意味で使い、「上席者」と呼称する場合は、招待客や社内の人など一定の集団の中で立場が上の人達を指します。社内外のイベントなどで重要なお客様を招く際、席順を決める時に重要視されるでしょう。
【例文】
- 同じ役職でも、在職年数が長いAさんが上席の判事に当たる。
- 上席主任はBさんだから、最初に挨拶に行った方がいい。
- 上席者の順番に来賓者名簿を作ったから、お招きする際に失礼のない席順にしてください。
「上席」の対義語
「上席」の対義語は「末席」(読み:ばっせき・まっせき)です。立場が下位の人が座る席、階級や等級などが下位の地位であることという意味で使われます。
自分の地位や立場を最も低い末席になぞらえて、会合やパーティなどに参加している場合に謙遜の表現で用いることもあります。
【例文】
- 名だたる方の中で、恐れ多くも末席に名を連ねている。
- タクシーに乗車した時の末席は助手席ですが、主人自らが運転している場合は助手席が上席になります。
- 私のような若輩者は末席で十分です。どうかお気遣いなく。
「上席」を「じょうせき」と読まない場合の意味
「上席」は「じょうせき」と読むのが一般的ですが、その他にも「かみせき」や「しょうせき」と読む場合があります。「かみせき」と読んだ場合には、意味合いが変化することもあるので注意が必要です。
「上席」を「かみせき」と読む場合
「上席」を「かみせき」と読む場合は、「じょうせき」と読んだ時のように上位の階級を表すこともありますが、一般的にはその月に行われる寄席の公演時期を表します。
寄席とは日本の興行の形式で、落語や浪曲、漫才や漫談などの話芸や、コント、マジック、紙切り、曲芸、ものまねなどの演芸などの演目が行われる催し物のことを言います。
【寄席の興行の日に関係した言葉】
- 上席(かみせき)…その月の上旬(1日~10日)に行われる寄席
- 中席(なかせき)…中旬(11日~20日)に行われる寄席
- 下席(しもせき)…下旬(21日~月末まで)に行われる寄席