「シャンティ」とは?
片仮名で「シャンティ」と書く外来語には、二種類あります。一つはサンスクリット語で、もう一つはフランス語です。原語を見ると、綴りも意味も異なるものです。
ご参考までに、英語にも「シャンティ」と表記される単語が複数あります。1つは、水夫の歌う囃し歌"chantey"、もう1つは、「掘っ立て小屋」を意味する"shanty"です。
しかしながら、どちらも外来語と呼べるほどの定着は見せていませんので、ここでは解説から除外します。
サンスクリット語:Shanti
サンスクリット語の「シャンティ」はヨガ用語として知られています。カルチャーセンターなどで、ヨガクラスの前後に「シャンティ・シャンティ・シャンティ」と唱えます。「オーム・シャンティ・シャンティ・シャンティ」と唱えることもあります。
「Shanti」は平和、至福、平安、静寂などを意味する単語です。自分・周囲の人・世界の3方面に対して祈る意味で三回唱えます。
フランス語:Chantilly
Chantillyはフランス北部オアズ県の町で、壮麗な城館であるシャンティ城を有することで有名です。パリから日帰りの距離にあるため、観光地として人気です。
フランス語転記としては、「シャンティ」よりも原語の発音に忠実な「シャンティイ」や「シャンティイー」と書かれることもあります。
この城館で開かれた、太陽王ルイ14世を招いての大宴会の際に宮廷料理人ヴァテールが考案したのが、砂糖を入れて泡立てたホイップ・クリーム「クレーム・シャンティ"crème Chantilly"」です。(砂糖なしのホイップ・クリームは「クレーム・フェッテ」)
ケーキのレシピや、洋菓子店のケーキ名で見かけることが多いでしょう。
- シャンティ・フレーズ「苺とホイップクリームのケーキ」
- マロン・シャンティ「栗のペーストをホイップクリームで飾ったケーキ」
日本語の造語:オシャンティー
厳密に言えば「シャンティ」とは異なりますが、「お」がついただけの「シャンティ」とも聞こえるのが「オシャンティー」です。若者言葉で「お洒落な人」、「お洒落であること」、「かっこいい」を指します。
「ジモティ=地元の人」や「ありえんてぃ=あり得ない」などと同様、元の言葉の後ろに「ティ」をつける若者に人気の造語法によります。
固有名詞「シャンティ」
外来語として定着しているとは言えませんが、固有名詞としてその名を知られている「シャンティ」もありますので、ご紹介します。
カレー屋「SHANTi」
札幌で開業したスープカレー屋さんで、東京にも複数店舗出店しています。インド、ネパールのカレーをベースに、と謳っていて、綴りもサンスクリット語系統の言葉を元にしていることをうかがわせます。
ゲーム「Shantae」
2002年よりシリーズで発売されているアメリカのコンピュータゲーム「Shantae」の日本語版が「シャンティ」です。
上でご紹介したサンスクリット語でもフランス語でもなく、由来は主人公の名前です。英語読みだと「シャンテ」や「シャンテイ」の方が近くなりますが、「シャンティ」としてリリースされました。5シリーズ以上継続している人気のタイトルです。
「シャンティ―」まとめ
「シャンティ」の意味は、サンスクリット語のマントラでもあり、ホイップ・クリームでもあることが分かりました。その他に、「シャンティ」の名で通用する固有名詞も若干あります。
意味も使い方もまったく違いますので、混乱が生じることは少ないと思いますが、予期せぬ場所で「シャンティ」を見かけた場合には、別の「シャンティ」である可能性を思い出してくださいね。