「シンジケート」とは
「シンジケート(syndicate)」は、ある種の企業組合を意味する言葉です。語源はラテン語の“syndicus”にあり、その意味する所は「法人の代議員(delegate of corporation)」でした。
では、以下で現在の「シンジケート」という言葉が意味するところを見てゆきましょう。
シンジケート:企業の独占形態
まず「シンジケート」は、カルテルを発展させた企業の独占形態を意味します。「カルテル」とは、同じ業種の各企業が利益を独占することを目的として、価格の維持や引き上げなどの協定を取り決めることを言います。
カルテルでは企業同士の競争がなくなり、協定に参加している企業は独占的に利益を得られますが、新規参入などが難しくなることもあり、日本では独占禁止法により原則禁止となっています。
シンジケートはこのカルテルを最高度に発展させたもので、加盟企業が共同で組織を結成し、生産まで統制を及ぼすものとなっています。戦前はこうしたシンジケート(共同販売会社)がいくつかありましたが、現在では禁止されています。
シンジケート:証券引受団
また、有価証券の引き受けのために銀行・保険会社・証券会社などが結成する証券引受け団のことを「引受シンジケート(団)」、略して「シ団」と言います。
株式や債券といった有価証券の販売力を強めたり、一つの証券会社が引き受ける場合の責任や売れ残りの危険性を分散させたりすることを目的としています。
発行される有価証券ごとに組織は異なり、社債や国債のための引受けシンジケート団もあります。
「シンジケートローン」とは
証券引受団のためのシンジケート団は基本的に国内の銀行・保険会社・証券会社で結成されますが、世界中の銀行同士が共同してシンジケートを結成する場合があります。
これは外国の政府や公共機関・民間会社に融資を行うことを目的としており、その融資のことを「シンジケートローン」(協調融資)と言います。シンジケートローンは資金の調達や、危険の分散をはかる目的でおこなわれます。
シンジケート:犯罪組織
よく知られているものとして、「シンジケート」には「大規模な犯罪組織」という意味もあります。特に厳密な定義などはないようですが、シンジケートといえばギャングやマフィア組織を類推される方も多いでしょう。
犯罪組織としてのシンジケートを扱った映画としては、チャールズ・ブロンソンが主演した『シンジケート(原題:The Stone Killer)』が1973年に製作されています。これはニューヨークのマフィア抗争がモデルとなっています。
また、産業革命期のロンドンの犯罪組織を舞台にした『アサシンクリード シンジケート(Assassin's Creed Syndicate)』というゲームも出ています。これは「アサシンクリードシリーズ」の9作目で、ユービーアイソフトより2015年に発売されました。
シンジケート:その他
種牡馬の所有におけるシンジケート
優れた競走馬を産むために不可欠な種牡馬(しゅぼば)の所有においても、シンジケートが結成される場合があります。
種付けや出産などは不確定要素が多く、業界にとって大きなリスクとなるため、優れた種牡馬を法人(シンジケート)で持ち合い、種付権を株券に分割するということが行われています。
有名なところでは、名馬ディープインパクトの場合、1口8500万円、総額51億円でシンジケートが組織されたようです。
広告・販売・データ調査におけるシンジケート
「シンジケート調査」は、ある調査機関が契約した会員(会社)にのみデータを提供する調査のことを言います。テレビの視聴率や消費者パネル調査などが一般的です。こうした調査で提供されるデータのことは「シンジケートデータ」と言います。
その他では、通信社や番組販売、インターネットのフィードの際にシンジケートの形態が取られることがあるようです。
ウイスキーの銘柄
また「シンジケート」はスコッチ・ウイスキーの銘柄としても存在します。1958年に、地元の仲間(シンジケート)6人が集まり、当時「幻のブレンド」と言われていた「クラシック・ブレンド」によるスコッチ・ウイスキーの再現を目指したことが名前の由来なのだそうです。