「ディシプリン(discipline)」の意味と使い方
「ディシプリン(discipline)」は品詞によって意味や用法が異なるため、以下にそれぞれを分けて記載します。
名詞
名詞としての「ディシプリン(discipline)」の意味は、以下の通りです。
- 訓練、鍛錬
- しつけ
- 規律、統制、自制心
- 懲罰、懲戒、試練、苦行
- 学科、学問、専門分野
【例文】
- mental discipline…精神鍛練
- military discipline…軍事訓練
- a good discipline…優れたトレーニング
- keep discipline…規律を守る
- strict discipline…厳しい規律
- scientific disciplines…科学分野
他動詞
他動詞として「ディシプリン(discipline)」が用いられる場合は、以下のような意味合いになります。
- 〈人〉を罰する, 懲戒する
- 〈人〉を訓練[鍛錬]する、〈子供〉をしつける、 自己を律する、習慣をつける
【例文】
- He disciplined the students.(彼はその生徒を注意した)
- You have to discipline yourself to get up early.(君は早起きする習慣をつけるべきだ)
- discipline a child(子どもにしつけをする)
「ディシプリン(discipline)」の語源
現在、「ディシプリン(discipline)」は「規律」「規律・訓練」などと翻訳されるのが一般的です。
しかしその語源は、「フランスの哲学者ミシェル・フーコーが、18世紀に西欧において成立した権力のテクノロジーの本質的要素を指し示すための語」だったと、『日本大百科全書』では解説されています。
ミシェル・フーコー『監獄の誕生 監視と処罰』より
「ディシプリン(discipline)」の出典『監獄の誕生』
フーコーは、18世紀の西欧では個人を支配をする方法として、絶え間のない監視や矯正を目的とした処罰、個人に関する知の形成をさせるための試験や検査を行ったと解説しています。
社会のいたるところに見いだされるディシプリンのこうしたメカニズムは、18世紀の西欧にもたらされた数々の重大な発明に匹敵するものとして描き出されています。
西欧におけるディシプリンの出現を、フーコーは18世紀ヨーロッパの歴史的状況下で、生産の効率を上げるため、個人に至るまで網羅的に攻囲して、人々を管理し、支配していたことと結びつけています。
このようなことから、訓練、しつけといった力による教育のことを「ディシプリン(discipline)」としたのが語源と言われています。
サッカー用語としての「ディシプリン(discipline)」
ディシプリンはサッカー用語としては「共通理解」、「約束事」として広く浸透しています。規律やルールというだけにおさまらず、選手としてのプレーに対する意識や、努力という大きなワールドまで意味を持ちます。
集団スポーツにおいて、意思を持たせ、意図のあるプレーをするために重要なものだと言われています。
たしかに君たちは、礼儀正しいし目上の者の言葉に従順だ。だがそれは、サッカーで求められる戦術的ディシプリンとはまったく別の物だ。
状況に応じて瞬時に判断し、的確に動く。それも労をおしむことなく。それが戦術的ディシプリンであり、ビッグクラブとごく平均的なクラブ、トップレベルとそうでない選手との違いを作り出しているのは、戦術的ディシプリンのみと言ってもいい。
出典『Sports Graphic Number』768号/オシムのインタビューより