「陞爵」とは?意味や使い方を例文を含めてご紹介

「陞爵(しょうしゃく)」という言葉を、普段からよく聞くという人はまずいないでしょう。これは「爵位が上がること」を意味する言葉なのですが、現代の日本ではその「爵位」自体が縁遠いものとなっているからです。この記事では「陞爵」の意味や例文について紹介します。

目次

  1. 「陞爵」とは
  2. 「爵位」とは
  3. 「爵位」と「陞爵」
  4. 「陞爵」の例文
  5. 「陞」の字を使った言葉

「陞爵」とは

「陞爵」「しょうしゃく」と読みます。その意味は「爵位(しゃくい)を上にあげる」ことです。

「陞爵」の「陞」という字は「昇」という字の旧字体となります。なので、意味は「高くのぼること」や「地位をあげること」を意味します。

現代日本では「爵位」自体が廃止されているため、普段はまず聞くことのない言葉ですが、公の場で使用されるとしたら「陞」の字は新字体に置き換えられて「昇爵」と表記されるでしょう。

「爵位」とは

それでは「爵位」とはなんでしょうか。一般に「公・侯・伯・子・男(こう・こう・はく・し・だん)」という序列で知られている爵位は、国家が定める貴族の称号であり、日本では1884年(明治17年)の華族令により設けられました。

これにより「公爵」「侯爵」「伯爵」「子爵」「男爵」いずれかの爵位を有する者は「華族(かぞく)」と呼ばれるようになりました。

その後、1947年(昭和22年)日本国憲法により廃止されています。爵位は王権や国家権力に対し勲功のあった個人に対して授けられる、特権や栄典でした。

「爵位」の成り立ち

「爵位」の成り立ちは古代まで遡ります。古代中国では春秋戦国時代のころから、ヨーロッパでは中近世において成立を見ることができます。古代日本の律令制における「官位」なども爵位の例でしょう。

これらは名称の面で共通点を見いだすこともできますが、歴史的には異なる発達を遂げたものと言えます。

「爵位」の種類

それでは具体的な爵位の例について紹介しましょう。

  • 公爵デューク(英)、デュク(仏)、ヘルツォーク(独)
  • 侯爵:マーキス(英)、マルキ(仏)
  • 伯爵:アール(英)、コント(仏)、グラーフ(独)
  • 子爵:バイカウント(英)、ビコント(仏)
  • 男爵:バロン(英)、バロン(仏)

その他、地域によって固有の爵位の例もあります。
  • 辺境伯:マルクグラーフ(独)。公と伯の間。フランク王国時代に、辺境地域の統治をゆだねられたもの。
  • 騎士:シュヴァリエ(仏)。フランスの騎士の階級。また同国最高の勲章である「レジオンドヌール勲章」の階級の名前としても残っている。
  • 騎士:ナイト(英)。イギリスで「騎士」の称号を与えられた者は「サー(Sir)」の敬称を着けて呼ばれる。イギリスでは現在も国家による爵位の授与が行われている。

「爵位」と「陞爵」

すでに述べた通り、「陞爵」は「爵位が上にのぼること」を意味しています。日本の例で言えば、男爵が子爵に伯爵が侯爵に、といった風に爵位をあげることを指しています。これは主として功績を評価されることによってなされました。

注意点としては、「陞爵」はすでに爵位を持つものがより上の序列にあがることだというところです。平民が貴族に取り立てられる場合は「陞爵」とは言いません。その場合の爵位は「授与」(叙爵)されます。

「陞爵」の例文

  • 明治の元勲のひとりである桂太郎は、1910年、韓国併合の功績により公爵に陞爵した。
  • 土地の領主が陞爵したとあっては、領民としても鼻が高い。
  • 陞爵に伴って授与された栄典ときたら、以前の比ではなかった。

「陞」の字を使った言葉

「陞爵」の他にも「陞」の字を使った言葉がいくつかありますので、紹介しましょう。

  • 陞官(しょうかん):官位を上にあげること。昇官。
  • 陞進(しょうしん):役職が上にあがること。昇進の古い言い方。
  • 陞叙(敍)(しょうじょ):上位の官に任ずること。昇叙。
  • 陞等(しょうとう):等級を上にのぼらせること。


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