「利」の意味と使い方
「利」という漢字には多くの意味が存在します。
- 鋭い、良く切れる(鋭利・利器など)
- 素早い、賢い(利発・利口など)
- 良い、都合が良い、役に立つ(有利・便利など)
- もうけ、とく(利益・営利など)
- 利息、利子(高利・元利など)
このうち、3~5は熟語ではなく「利」一文字でも用いられます。以下に使用例を挙げてみます。
- 【都合のよいこと】地の利を活かした戦法だ。
- 【もうけ】利の薄い商いは無駄だ。
- 【利息】そろばんが狂って利を食ってしまった。
「利」の成り立ち
「利」という漢字の成り立ちは、農業に由来すると考えられています。まず、偏(ヘン)の「禾」は穀物を表し、旁(ツクリ)の「刂(りっとう)」は刃物を表しています。
組み合わせると、稲を栽培して鋭い刃物で土を耕したり、穀物を刈り取る様子になります。
意味の派生
「利」の持つ様々な意味は、稲を刃物で刈り取って収穫することから派生したといわれています。
たとえば稲を刈る刃物から、「鋭い」という意味が生まれました。その刃物は耕作や収穫に「役立ち」、収穫した穀物を売ると「もうけ」になります。
また日本には種子を貸して、収穫した後に多めの種子で返す風習があったことから、これが「利子・利息」という意味の起源であると言われています。
「利く」の意味
「利」が「利(き)く」という動詞になると、機能的なことを表現する言葉に変わります。うまく行く場合や、本来持つ機能が発揮されることを表します。
- 機能が働く。能力が発揮される。
- 可能である。
【使用例】
- 犬は鼻が利く。
- あの人は本当に気が利く。
- 彼女には無理が利く。
- あの車は小回りが利く。
「利」を含む慣用句
漁夫の利
「漁夫の利(ぎょふのり)」は教科書にも出てくるとても有名な故事成語です。「二者が争っている間に、第三者が介入して苦労することなく利益を横取りする」という意味があります。
この言葉は、中国の書物『戦国策』「燕策」の物語からきています。シギとハマグリが争っている間に、通りがかった漁師(漁夫)が両方とも捕まえてしまったという物語です。
自分だけが利益を横取りしようとしたり、目の前のことばかりに気を取られていると自分たちが結果的に皮肉な結果になるという意味です。
【使用例】
- そんなことで争っていたら、漁夫の利のような事態になりますよ。
- 大手の二社が争っているうちに、無名の会社がその商品を発売して大ヒットになった。まさに漁夫の利だ。
冥利に尽きる
「冥利に尽きる(みょうりにつきる)」には、「その立場における最高に幸せな気持ちであること」という意味があります。「冥利」は仏教に由来する語で、神や仏によって与えられている幸せを意味します。
【使用例】
- 子供が笑ってくれれば、親として冥利に尽きる。
- 夢だったこの表彰台に上がれるとは、選手冥利に尽きます。
「利」がつく名前
まずは人名としての「利」の、基本的な情報をおさえておきましょう。
- 画数:7画
- 音読み:り
- 訓読み:き(く)
- 名のり:かが、かず、さと、と、とうる、とおる、とし、のり、まさ、みち、みのる、よし、より
- 意味:賢い、利益、大きな収穫を得る。
「利」を使った名付け例
「利」は、「賢い子になるように」「周りの人に役に立てるような人間になるように」といった思いで、名付けに使われる人気の漢字です。
最近は、「とし」などの名のりよりも、「り」を当てる名前が増えてきています。男子の名付けによく使われる漢字ですが、女の子に使っても問題ありません。
【名前例】
- 利伸(としのぶ)
- 利明(としあき)
- 勝利(しょうり)
- 亜利沙(ありさ)
- 利緒(りお)