「老舗」とは?意味や使い方をご紹介

お菓子の包みに「京都の老舗の逸品」と書かれていたりすると、それだけで「おいしそうだなぁ」と思ったりしませんか?「老舗」という言葉は、そんなふうに人を惹きつける力を持っているのではないでしょうか。この記事では、そんな「老舗」の意味や使い方を解説します。

目次

  1. 「老舗」の意味と使い方
  2. なぜ「しにせ」と読む?
  3. 「老舗」は創業何年から?
  4. 日本の「老舗」ベスト3

「老舗」の意味と使い方

「老舗」は、一般的には「しにせ」と読まれることが多いようです。「ろうほ」と読む場合もあり、こちらも間違いではありません。

意味は、何代にもわたって同じ商売を続けている、由緒正しく、信用や格式のある店のことです。また、そのように長い間、商売を続けてきたことで培ってきた店の信用そのものや、代々にわたってその家業を受け継いで守っていることも表します。

「老舗」の使い方

  • 仲人をお願いした上司へのお中元には、失礼のないように老舗の日本酒を贈ることにした。
  • 金沢への旅行で、ちょっと奮発して老舗の旅館に宿泊することにした。おもてなしが楽しみだ。
  • 老舗の和菓子屋の最中をいただいたが、さすがにあんこの味が一味違うね。

なぜ「しにせ」と読む?

「ろうほ」は「老舗」の音読みなので、問題なく読めそうですが、「しにせ」の読み方はどこから来ているのでしょうか。実は、「しにせ」と読むのは当て字です。

「しにせ」の語源は、動詞の「仕似す(しにす)」という言葉で、この連用形から「しにせ」になったとされます。

「仕似す(為似す、と書かれることもあります)」は、物事をまねることや、代々の家業を受け継ぐこと、長い間、商売を続けて信用を培うことなどを表す言葉です。

この「仕似す」の意味が、「老舗」の表す内容に合っていたので、「老舗」を「しにせ」と読むようになったと考えられています。

「老舗」は創業何年から?

「老舗」が創業何年からを指すのか、明確な基準はありません。ただし、企業調査などにかかわる団体では、創業100年以上や3代以上の経営の企業、店舗などを「老舗」とすることが多いようです。

2017年の、東京商工リサーチによる「全国老舗企業調査」では、日本全国で3万3000社ほどの企業が創業100年を超えるとされ、創業1000年以上の企業も7社が数えられています。

地区別、業者別の割合

また、「全国老舗企業調査」によれば、関東におよそ30%、10000社あまりの老舗が存在しています。近畿のおよそ6000社、中部のおよそ5000社がそれに続きます。

北陸では、企業に占める老舗の割合が他の地域に比べて多くなっています。これは薬売り(富山県)や眼鏡枠製造(福井県)などの地場産業が盛んなためと、加賀藩前田家の城下町であり、和菓子や料亭をはじめとしてさまざまな老舗が存在する金沢(石川県)があるためと考えられています。

業者別の老舗の数では、清酒製造業、貸事務所業、旅館・ホテル、酒小売業などの占める割合が多くなっています。少ないのは、情報通信業です。

日本の「老舗」ベスト3

金剛組

日本で最古の企業は、578年に創業された建設会社の「株式会社金剛組(こんごうぐみ)」です。この会社は、神社や仏閣の建築や、文化財建造物や城郭などの修理・復元などをおこなっています。現在残っている、世界最古の企業でもあります。

創業者は、飛鳥時代、聖徳太子が朝鮮半島の百済(くだら)から呼び寄せた3人の宮大工のうちの1人、金剛重光(こんごうしげみつ)で、日本初の官寺である四天王寺(してんのうじ)の建立にも関わっています。現在は高松建設株式会社のグループ会社になっていますが、2005年までは金剛一族によって経営されていました。

池坊

その次に古いのが、京都府の「池坊(いけのぼう)」(一般財団法人池坊華道会)です。華道の家元である池坊は、代々、聖徳太子が開基したとされる頂法寺(ちょうほうじ)の住職を務めていたため、頂法寺の創建の年である587年が創業の年とされています。

慶雲館

3番めは、山梨県にある旅館の「有限会社西山温泉慶雲館(けいうんかん)」で、705年(慶雲2年)、飛鳥時代の創業です。ギネスブックにも世界最古の宿泊施設として認定されています。

藤原鎌足(ふじわらのかまたり)の長男である藤原真人(まひと)が、この地で狩りをした際に温泉を発見し、開湯したと言われています。また、この旅館には、武田信玄や徳川家康が湯治に訪れた記録も残っているそうです。


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