「クローザー」とは
「クローザー」とは、野球の試合において、最終回などの局面で短いイニングに登板して、試合を締めくくる投手のことです。
一般的にクローザーとして活躍するのは、速い直球と鋭い変化球をもった投手です。試合の勝敗を左右する重要な役割を担うため、どこのチームも安定したクローザーを必要としています。
その他「ストッパー」や「抑え」、あるいは一打同点や逆転の場面で登板し抑える様子を、「炎上した建物などを消化する消防士」に例えて「火消」と呼ぶこともあります。しかし、最近の「クローザー」は、イニングの始めからの登板が主流となっています。
クローザーの歴史:先発完投制から分業制へ
現在のプロ野球では、投手分業制が確立されています。従前、投手は先発して完投することが主な役割でした。
しかし、投手の投球数の過多や酷使を防ぐために、先発完投ではなく投球回数を分けて、先発投手の後に別の投手が投球を行う分業制になりました。
分業制が導入され始めたのは、1960年中頃といわれています。提唱したのは、当時の中日ドラゴンズ近藤貞雄監督です。近藤監督は、酷使によって数年で投手生命を終えた権藤博投手の教訓から、投手分業制を発案しました。
中日ドラゴンズの板東英二投手、読売ジャイアンツの宮田征典投手は、当時試合の後半を任された代表的な選手です。
クローザーの歴史:投手分業制への確立
分業制がプロ野球で導入されて以降、1980年代からその体制が細分化され、「先発」、「中継ぎ」、「抑え(クローザー)」の投手分業制が確立されました。また、登板間隔日程などを決める起用法も考案されました。
先発投手
従前、先発投手には明確な登板間隔がなく、中1日や2日、連投も当たり前の状況でした。しかし、投手分業制の導入により、登板間隔を5人から6人の投手で5日から6日とする「先発ローテーション」が起用されました。
近年のメジャーリーグにおいては、「クオリティスタート」が用いられています。これは先発投手が6回まで投げて、自責点3点以内に抑えた時に記録されるものです。6回までに良い成績を残すことが先発投手の評価となっています。
また、最近のメジャーリーグでは、リリーフ投手が1回から2回の短いイニングを投げた後、先発投手をロングリリーフとする「オープナー」という起用法も採用され始めています。
救援投手
「救援投手」とは、試合展開によって先発投手と交代してイニングの途中から登板する投手のことです。
先発投手の途中交代というアクシデントを乗り越え、ゲームを整えながら、中継ぎ投手へリレーしていくことが役割です。
中継ぎ投手
中継ぎ投手は、先発投手や抑え投手(クローザー)の間に登板する投手のことです。近年では、セットアッパーとも呼ばれています。7回や8回を投げて抑え、ゲームをつくりながら、クローザーへとつなぐ役割を担っています。
抑え投手(クローザー)
抑え投手は試合を締めくくる終盤に登板する投手です。僅差でリードしている場面であったり、同点で回を抑え次の回での反撃を待つ場面といったシビアな状況で登板します。
大量リードの試合が続くと登板の機会は少なくなりますが、必要であれば毎試合でも登板します。
代表的なクローザー
宮田征典投手
宮田征典投手は読売ジャイアンツのV9に貢献した、リリーフ投手の草分け的な存在です。
当時はまだ投手の分業制が確立していませんでしたが、川上哲治監督の起用により、試合の後半を抑えるリリーフ投手として活躍しました。毎回のように試合終盤の午後8時半頃になると登板してくるため、「8時半の男」とも呼ばれました。
佐々木主浩投手
「ハマの大魔神」として横浜大洋ホエールズ(現在の横浜ベイスターズ)で活躍したクローザーといえば、佐々木主浩投手です。
150kmを超える速球と鋭く落ちるフォークボールを武器に、日本プロ野球通算252セーブ、メジャーリーグでもシアトルマリナーズに所属して、通算129セーブを記録しました。
マリアーノ・リベラ投手
マリアーノ・リベラ投手はニューヨークヤンキースに所属し、魔球カットボールを武器に19年間にわたって活躍しました。
デレク・ジーター選手とともにヤンキースの黄金時代を築き、5回のワールドチャンピオンに貢献しています。通算セーブ数652はギネスブック公認の世界記録です。また、敬虔なクリスチャンという一面も持っています。