「アンカー」とは?意味や使い方をご紹介

船乗りが大切に扱う「アンカー」や報道番組に携わる人たちの間で呼ばれている「アンカー」やインターネットの世界で使われている「アンカー」にはそれぞれ違う意味があります。あなたは「アンカー」と聞いて何を思い浮かべますでしょうか?今回はその意味と使い方をご紹介します。

目次

  1. アンカーとは
  2. アンカー:錨(いかり)
  3. アンカー:リレー競技の最終競技者(走者/泳者)
  4. アンカー:アンカータグ(安価)
  5. アンカーマン(報道/ニュース)
  6. アンカー効果(心理学)

アンカーとは

アンカーの意味

「アンカー」は英語のanchorを由来とするカタカナ語で、以下のような意味を持ちます。

  • 船の錨
  • リレー競技などの最後の競技者(走者/泳者)
  • アンカータグ、とくに電子掲示板で他の書き込みへリンクするためのタグ

アンカーの原義は「船の錨」であり、そこから派生してその他の意味が生まれました。またニュース番組のメインキャスターをいう「アンカーマン」や、心理学用語である「アンカー効果」といった派生語も生まれています。

英語のanchor(アンカー)の意味

もともとの英語のanchorには、以下のような意味があります。

  • 錨(いかり)
  • 固定材/固定装置
  • 力と頼むもの/頼みの綱
  • (リレーなどの)最終走者/(綱引きの)最後尾の人

名詞として「She's my anchor (彼女は私の心の支えだ)」などと使われたり、動詞として「The ship anchored in the harbor(船は港に投錨した)」「anchor one's hope in …(~に望みをつなぐ)」などと使われたりします。

アンカー:錨(いかり)

「アンカー:錨(いかり)」とは、船が流されないように綱や鎖につけて水底に沈めておく主に鉄製のおもりのことをいいます。アンカーの歴史は古く、紀元前2000年頃の地中海にまで遡ります。その頃は、石とロープで作られたアンカーが使用されていたようです。

紀元前500年頃のギリシャでは石と木で作られたアンカーが登場します。その後、船が大きくなるのにつれて爪で海底をひっかける必要がでてきたため、紀元前にはすでに鉄のアンカーが作られるようになったと言われています。

アンカー:錨(いかり)の使用例

  • アンカーがしっかり効いているか確認してください
  • そろそろアンカーをひきあげる時間だ
  • 海の流れが速くてアンカーも一緒に流されています

アンカー:リレー競技の最終競技者(走者/泳者)

綱引きの最後尾で綱をひっぱる人は、体に綱をぐるぐるに巻きつけてどっしりと動かないような姿勢をとります。その姿から「錨」という意味の「アンカー」という呼称がついたとされています。

また「最後尾」から転じて「リレー競技の最終競技者」のことも「アンカー」と呼ぶようになりましたが、これにはもうひとつの背景も関係していると言われています。

リレーのアンカーの語源

今の船舶に比べて昔の船は強度が足りなかったため、ひとたび海上で強風や大波に遭うようなことになれば、沈没や座礁や漂流の危険性が高かったといえます。

そんな時に悪天候にも負けず船をしっかりと固定してくれるアンカーは、船乗りや海兵たちにとって命を託す大切な船具だったのです。

つまり船員にとってアンカーは、船を支える最後の希望でした。最後の希望をひとりの選手に託す。その精神的な支えとしての意味が、リレー競技における最終競技者をアンカーと呼ぶようになった由来だと言われています。

アンカー:リレー競技の最終競技者の使用例

  • アンカーにバトンが渡った時点で勝利を確信しました
  • 彼をアンカーに起用したことが勝因になった
  • 日本のアンカーであるケンブリッジ飛鳥がアメリカに先んじてゴールに飛び込んだ

アンカー:アンカータグ(安価)

インターネット掲示板(2ちゃんねる等)で他の書き込みにリンク(レス)されるための文字列を「アンカー」もしくは「レスアンカー」いいます。「安価」という当て字で表記されることもあります。

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アンカーマン(報道/ニュース)

テレビのニュース番組のメインキャスターや総合司会のことを「アンカー」もしくは「アンカーマン」といいます。

番組の中心人物であり、取材内容を“最終的に取りまとめて責任をもって伝える”という役割であるメインキャスターを、錨やリレーのアンカーの連想からこう呼びます。

1952年にアメリカCBSテレビのプロデューサーであったドン・ヒューイット(Don Hewitt)が初めて使ったとも言われています。

CBSテレビの有名なアンカーマン

ウォルター・クロンカイト(Walter Cronkite)は、アメリカCBSテレビのニュース番組「CBSイブニングニュース」の2代目アンカーマンで、「アメリカの良心」「大統領よりも信頼できるニュースアンカー」と呼ばれていました。

エンディングの「And that's the way it is.(では、今日はこんなところです)」は名台詞として知られています。

またダン・ラザー(Daniel "Dan" Rather)はウォルター・クロンカイトの後任として「CBSイブニングニュース」のアンカーマンを務めた人物です。

エンディングでは前任のクロンカイトにならって「That's the part of world tonight(今夜、世界ではこんなこともありました)」という台詞を使ったことで知られています。

アンカー効果(心理学)

最初に与えられた情報や数値(アンカー)が基準になり、その印象が強ければ強いほど、その後の行動や判断に影響をおよぼすという心理効果のことを「アンカー効果」もしくは「係留効果」「アンカリング」といいます。

「アンカリング」あるいは「係留」とは、ボートなどを綱でつなぎ止めておくことです。最初に与えられた情報が「錨=基準」となって、ある印象につなぎとめる役割をすることから「アンカー効果」と呼ばれます。

アンカー効果の具体例

例えば、テレビの買い替えで最新型を購入したい場合などは、価格の情報が少ない時ほどアンカーはより効果的に働きます。

「新型テレビ 通常価格 198,000円 → 本日限定特価 98,000円という店頭広告を見てしまうと、通常価格(この場合198,000円)がアンカーとなって「今日買えばずいぶん安く買えるんだな、得するな」という心理効果を与えることができます。

ただし、同じ特価の98,000円でも、この店に来る前に寄った店で同等のものが88,000円で売っていたとしたら、最初に見た88,000円がアンカーとなって、98,000円はずいぶん高い印象を与えることになります。

価格だけではなく、実は「本日限定」や「先着○○名まで」などのうたい文句も、アンカーとしての役割を果しています。こうしてみると、いつの間にかどこかで上手にアンカー効果を使った販売方法に踊らされて、商品を購入しているのかもしれませんね。


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