「勇み足」とは
「勇み足(いさみあし)」とは、調子に乗ってやりすぎたり、喋りすぎたりして結果的に失敗に終わることです。
「勇」という字には「いさましい」や「ふるい立つ」などの意味がありますが、「勇み足」の場合は単に勢いがある様ではなく、度が過ぎて失敗を招いてしまう状態をさします。
「勇み足」は、私たちの日常で、張り切り過ぎて失敗することの慣用表現として使われています。しかし、本来「勇み足」は相撲用語のひとつです。
相撲における「勇み足」
せっかく相手の力士を土俵際まで攻め込んでおきながら、勢いのあまり相手より先に土俵外に足を踏み出してしまうことを「勇み足」といいます。どんなに相手を追い詰めていても、先に土俵の外に出た方の負けですから、当然「勇み足」も‘した側‘の負けなのです。
目前にせまった勝ち星を、自らの失敗により失ってしまう。つまり、「自滅」の状態を「勇み足」と表します。
「勇み足」を使った例文
- 自分の実力を過信して早々に転職を決めたが、目指す分野は経験を重視していることがわかり、勇み足だったと後悔している。
- きちんとした裏付けも取れていないうちに情報を流すのは、完全にメディアの勇み足だ。
- 積極性と行動力は兄の魅力でもあるが、恋愛面では勇み足が多く女性に避けられがちだ。
- 母は昔からおせっかいなところがあったが、最近は歳のせいか勇み足になりがちで困っている。
「勇み足」の類語
「勇み足」と同様に、勢いで行動を起こすことを意味する言葉として「先走る」があげられます。「先走る」の意味は、「先んじて物事をする」や「はやまってひとりよがりの判断や言動をする」などです。
一見ポジティブな印象を与える言葉ではありますが、その行動はひとりよがりなもので、多くの場合よい結果を伴うものではありません。そのため、ネガティブな意味で用いられることが多くあります。
相撲由来の言葉たち
「勇み足」という相撲用語が日常的に使われるようになった背景には、相撲人気との関係があります。相撲は古くから国民的スポーツとして世代を超えた人気を誇っており、取り組みで使われる言葉はごく自然に日常生活へ浸透していきました。
「勇み足」の他にも相撲用語が慣用的に用いられている例は多数存在していますので、いくつかの言葉をご紹介します。
用語 | 一般的な意味 | 相撲での意味 |
揚げ足を取る | 相手の言い間違いなどをとらえて、そこにつけこむこと | 相手が技をかけようとしてあげた足を取って倒すこと |
押し | 無理にでも自分の意志を通そうとすること | 四つ身にならず手のひらを相手に当てて前へ進むこと |
肩透かし | 相手の勢いをうまくそらすこと | 相手が出て来る所を差し手で相手の腋わきの下を抱えこむようにして体を開くと同時に、他方の手を相手の肩にかけ手前に引き倒す技 |
軍配があがる | 勝敗・善悪などの判定で勝利が示されること | 勝ち力士を示す行司の軍配うちわが上がること |
仕切り直し | 最初からやり直すこと | 両力士の気合いがそろわないため、仕切り(立ち合いの身がまえ)をやり直すこと |
序の口 | 物事が始まったばかりのところ | 大相撲の番付で、最も下に記される地位 |
懐が深い | 度量が広く、寛容であること | 四つに組んだ時、胸のあたりが広くて相手になかなかまわしを与えない状態 |
胸を借りる | 自分より実力のある相手に、練習の相手をしてもらうこと | 上位力士にけいこの相手をしてもらうこと |
脇が甘い | 相手につけ入るすきを与えやすいこと | 四つに組んだ時、ひじを自分のからだにつけることをしないため、相手方に有利に組まれたり押されたりしてしまう状態 |