「二刀流」とは
「二刀流」(にとうりゅう)とは、「両手に一本ずつ刀を持つ剣術の流派のこと」や「酒を飲むことや甘い物を食べることなど、両方を好みとすること」という意味です。
また、最近では「二つの物事をうまく同時に扱うこと」という、もうひとつの意味がよく使われています。
なお、「二刀流」の二刀は、一般的には大きな刀と小さな刀のことです。「二刀流」は、大小違うサイズの刀を器用に扱うことを表現しています。
「二刀流」の語源
「二刀流」は「左右の長さが異なる二本の刀をもって闘う剣術の流派のこと」が本来の意味です。この流派は宮本武蔵により創始され『二天一流』と呼ばれています。
この語源から、派生して「同時に二つのことをうまく行うこと、相反する嗜好(しこう)をもっていること」という意味になったと考えられます。
「二刀流」の使い方
- 野球で二刀流となるためには毎日の練習は人の二倍行うことです。
- 彼は海を渡ってメジャーリーグでも二刀流として活躍しています。
- 彼はお酒も甘い物もたしなみ自らを二刀流と称しています。
- 働き方の多様化として、本業とは別に副業を持つスタイルが二刀流と呼ばれます。
「二刀流」で有名となった事例(大谷翔平選手)
「二刀流」という言葉が注目を浴び、世間での知名度を得た要因として、現在メジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルスでプレーする大谷翔平(おおたにしょうへい)選手の存在があります。
彼は日本で所属していた北海道日本ハムファイターズの頃からメジャーリーグを目指すとともに、投手と野手の二刀流でプレーしていました。
結果、投打ともに類ない才能を発揮し、世間から注目され、「二刀流」が彼の代名詞となって、この言葉が広まっていきました。
「二刀流」の類語
「両刀遣い」
「両刀遣い」とは、「大小の剣をもって闘う剣法のこと。二つの異質なことを同時にうまく行うこと」など、「二刀流」とほぼ意味は同じです。「二刀」と「両刀」の違いはあっても類語といえます。
ただし、この言葉は両性愛(バイセクシュアル、男女ともに愛すること)の意味ももっているため、注意しましょう。
[例文]
- 彼は両刀遣いとして物事をそつなくこなしています。
- 彼は自分が両刀遣いであることを彼女に告白しました。
「二足の草鞋を履く」
「二足の草鞋を履く」(にそくのわらじをはく)とは、「同じ人が同時に二足の草鞋を履くことはできない」ことに由来し、転じて、「二つの両立できないような仕事を兼務する」という意味をもつようになりました。
この言葉は、江戸時代に博徒が悪行を取り締まる役目を兼ねて、別の博徒を取り締まることから由来したことわざです。「二つのことを兼務する」ことから「二刀流」の類語といえますが、ニュアンスは若干違っています。
[例文]
- 家計を助けるために夜のアルバイトを行い二足の草鞋を履いています。
- 二足の草鞋を履くことは簡単にできることではありません。
「掛け持ち」
「掛け持ち」とは、「一人で二つ以上の仕事や役を受け持つこと」という意味です。「二つ以上の仕事などを受け持つ」ところは「二刀流」と似通っています。
しかし、「二刀流」は自分の考えで自らが二つの物事を「うまく扱う」という意であって、その点においてはニュアンスに違いがあります。
[例文]
- 医師不足のためいくつもの病院を掛け持ちしている医師が多いです。
- 今日は会議を四つも掛け持ちしたので大変忙しい一日でした。
「兼業」
「兼業」(けんぎょう)とは、「自分が従事している本業の他に仕事や事業を兼ねて行っていること」(兼業農家など)です。
「二つの物事を同時に扱っている」点は「二刀流」と類似しています。しかし、「二刀流」の方が「扱い方が上手であって積極的なさま」を表現しています。
[例文]
- 父親から引き継いだ家業を日々の会社勤めと兼業しながら行っています。
- 最近の農業の実態は、本業を兼ねて農業を営む兼業農家が多くなっています。