「大丈夫」とは?
「大丈夫」(だいじょうぶ)という言葉には、以下の3つの意味があります。
- (だいじょうふと読む)立派な男子のこと。
- しっかりしているさま。堅固(けんご)なさま。あぶなげのないさま。
- 間違いなく。たしかに。
一般的には「だいじょうぶ」と最後の「ぶ」が濁り、2や3の意味で使われますが、元の意味・読み方は1であったと考えられています。
語源について
「大丈夫」(たいじょうふ)とは、元々は「立派な男子」、特に「権力に屈しない、尊敬できる男子」のことでした。「丈」の字は「頑丈」などに使われているように「強くしっかりしていること」、「夫」は「男」の意です。
「大丈夫」=「立派な男子」ということは、心身ともにしっかりしていて、健康であるという要素も当然含みますから、そこから「危なげがない」や「間違いなく」「たしかに」の意味に派生したのです。
最近ではあまり使われませんが、「偉丈夫」(いじょうふ:身体が大きく、立派な男)や「美丈夫」(びじょうふ:美貌の若者)などの言葉でにも「~丈夫」という字が使われていますので、姉妹語として覚えておきましょう。
「大丈夫」の使い方
現代では、「大丈夫」が語源通りに「立派な男子」を意味することはほとんどありません。もっぱら、派生的な意味である「しっかりしていること」や「間違いのないこと」を示します。
人間の肉体的・精神的な安定から、状況や計画などの確からしさまで、かなり広いニュアンスで「大丈夫」と言うことができるのがこの言葉の特徴です。相手を気遣う時に、とりあえずかける言葉でもあります。
ただ、それゆえに、「大丈夫か?」と聞く場合でも、「大丈夫だ」と答えたり告げたりする場合でも、具体性を伴わず、曖昧なニュアンスが残りがちな点には注意すべきかもしれません。
否定語としての「大丈夫」について
この言葉が曖昧なニュアンスを持つ例として、否定のニュアンスや、断りの文句としての「大丈夫」が使われるややこしい例があります。
例えば、買い物したとき、店員に「お箸をお付けしますか?」と聞かれたとします。この時、「必要ない」という意図で「大丈夫です」と言う人がかなり多くいます。「大丈夫」は、それ自体は肯定でも否定でもないため、店員としては戸惑ってしまうでしょう。
「(自分はそれがなくても)大丈夫」の意かもしれませんが、「(あなたの言う通りで)大丈夫」とも解釈可能ですから、受け答えとして非常に危ういと言わざるを得ません。肯定/否定を問われた時には、「大丈夫」という受け答えはできるだけ避けるべきです。
例文
【男の意味として】
- 田舎育ちの大丈夫、芸事を磨くために東京へ行く。
- 彼は私の右腕として相応しい大丈夫だ。
【その他一般】
- 明日は八時集合で大丈夫? ――大丈夫。(メールなどのやりとりで)
- 救急隊員は、倒れている要救助者に「大丈夫ですか!?」と声をかけた。
- 男三十歳。まだ大丈夫だと思っていたのに、体力に衰えが出てきた。
- この案件を彼ひとりに任せて大丈夫なんだろうか?誰か経験のある人にフォローさせよう。
- ずっと引きこもっている友人の「俺は大丈夫だから、構うな」という言葉を丸ごと信用するわけにはいかない。
「大丈夫」の類語
「立派な男子」の意味として
「大丈夫」を「立派な男子」と捉えると、類語としては「丈夫」(ますらお:立派な男、強く勇ましい男子、狩人)や、「東男」(あずまおとこ:江戸生まれのきっぷのいい男)などが意味が近いでしょう。
また、少しニュアンスが変わりますが、「紳士」や「貴公子」など、品があって優れた男性を指す言葉も該当するでしょう。あるいは、単に「男」や、「日本男児」などの言葉も、文脈によって「大丈夫」に近い意味合いを獲得すると言えます。
「たしかで危なげのないさま」の意味として
「大丈夫」は非常に広範な意味をもって使われますが、比較的使い方が近く、そのまま置き換えがしやすいものとしては、「オーケー(OK, Okay)」「問題ない」「心配ない」などの言葉が挙げられます。
また、そのまま置き換えは難しいとしても、「大丈夫」の意味に見合った類語としては「無事」「万全」「堅実」「手堅い」「安全」「安定」などの言葉を挙げることができます。
さらに、単純に「相手の言うことを理解した」という返答の文句として用いるのであれば、「了解」や「承知した(しました)」といった言葉も類語足り得るでしょう。