「終始」とは?
「終始」の意味
「終始(しゅうし)」は次のような意味を持つ言葉です。3の意味で用いる時は、副詞として使います。
- ものごとの始めと終わり。
- 始めから終わりまで同じであること。態度・行動・状態などを変えないで通すこと。
- 始めから終わりまで全部。その間中ずっと。
「終始」の使い方
- 彼は終始のけじめをつけようとしていた。
- 会談は終始和やかなムードだった。
- 恥ずかしいのか、彼女は終始うつむいていた。
「終始」と「始終」の違い
「始終」とは?
「始終(しじゅう)」には、次のような意味があります。
- ものごとの始めと終わり。
- 始めから終わりまで態度・状態などを変えないで通すこと。
- 始めから終わりまでのすべて。経過。事情。
- 最後。結末。
また、「絶えず」、「常に」、「いつも」や「遂に」、「結局」という意味で副詞として用いる場合もあります。
違い①動詞として使う・使わない
「終始」は「終始する」という動詞として用いることができますが、「始終」は動詞としては使いません。
[使用例]
- 肝心な報道はせず、有名人叩きに終始するマスコミにはうんざりだ。
- 話し合いの場でも、彼は自己弁護に終始した。
違い②「ずっと」・「いつも」
「終始」も「始終」も、副詞として用いることができますが、その際の意味は、次の通りです。
終始 | (始めから終わりまで)ずっと。 |
---|---|
始終 | いつも。常に。絶えず。 |
「ずっと」は「同じ状況が長く続いているさま」、「その間じゅう」を指し、「いつも」は「いつと限定しないさま」、「どんな場合でも」、「常に」を意味する言葉です。
「終始」にはすでに終了した、または、終了が見込まれる事柄について「終点から始点を振り返る」ニュアンスが、「始終」にはまだ終了していない現在進行形の事柄について「始点から終点の経過を追う」ニュアンスがあります。
そのため、「終始」は最初から最後までそうだったという事実を以って「その間じゅう、ずっと」、「始終」は今までの経過を以って「いつも」という意味で使用するのでしょう。
[使用例]
- 「彼は終始文句ばかり言っていた。」→ずっと文句ばかり言っていた。
- 「彼は始終文句ばかり言っている。」→いつも文句ばかり言っている。
違い③「すべて」という意味がない・ある
上でご説明した通り、「始終」は現在進行形の事柄の経過を追う視点であると考えられます。そのため、「始終」には「始めから終わりまですべて」、「経過」、「事情」という意味がありますが、「終始」にはそれがありません。
[使用例]
- 事の始終を明らかにする。
- カメラは事件の一部始終を追った。
「終始」の類語
「終始」の類語で、「物事の始まりから終わりまでを対象とするさま」を表す言葉には、「始終」、「最初から最後まで」、「首尾」などがあります。
また、「同じ考えや姿勢などが始めから終わりまで貫かれていること」を意味する言葉には、「一貫」、「貫徹」、「首尾一貫」、「終始一貫」などがあります。
四字熟語「終始一貫」
「終始一貫」とは?
「終始一貫(しゅうしいっかん)」とは、「初めから終わりまで言動や態度を貫き通すこと」という意味の四字熟語です。「一貫」は「一つの方針・方法・態度で、始めから終わりまでつらぬき通すこと」を表しています。
「終始一貫」の類語①「首尾一貫」
「首尾一貫(しゅびいっかん)」とは、「最初から最後まで、態度や方針を変えずに貫き通すこと」という意味です。「首尾」は、「頭から尾まで」から転じて「始めから終わりまで」を表しています。
「終始一貫」の類語②「徹頭徹尾」
「徹頭徹尾(てっとうてつび)」とは、「始めから終わりまで意志や覚悟を曲げないこと」を表す四字熟語です。「徹」という漢字には、「とおる・とおす・貫く・行き届く・達する」という意味があります。
「終始」の英語表現
「最初から最後まで」という場合
「終始」の意味のうち、「最初から最後まで」を表す英語表現には、次のような言葉があります。どれも、最初→最後という表現になり、「終始」のように最後→最初という表現はありません。
- from A to Z
- from alpha to omega
- from beginning to end
- from first to last
- from start to finish
「ずっと」という場合
「終始」の意味のうち、「ずっと」を表す英語表現には、次のような言葉があります。
- all the time
- always
- the whole time
- through