「自発」とは?
「自発」の意味
「自発(じはつ)」とは、「他から命令されたり強制されたりせずに、自分から進んで物事をすること」または、「動作・作用が自然にまたはひとりでに実現すること」を表す言葉です。
「自発」の使い方
「自発」は、「自発的」「自発性」という複合語で使われることが多い言葉です。
- 彼女は自発的に勉強し始めた。
- 彼らは自発的に協力を申し出た。
- この学校は、自発性を重んじる気風だ。
- 自発呼吸ができない状態になると、人工呼吸が必要になる。
「自発」の類語・対義語
「自発」の類語
- 「積極(せっきょく)」:進んで働きかけること。意欲的に行動すること。
- 「能動(のうどう)」:他からの働きかけを待たずに自ら活動すること。受け身でない活動。
「自発」の対義語
「自発」の対義語は「強制」ですが、「自発」の類語を考慮すると、「消極」、「受動」も使用できるでしょう。
- 「強制(きょうせい)」:力によって他人を従わせること。むりじい。
- 「消極(しょうきょく)」:自分から進んで行動したり、意見を述べたりしないこと。また、その様子。
- 「受動(じゅどう)」:他から動作、作用を受けること。受け身。
「自発的」と「自主的」の違い
「自発」と似ている言葉に「自主(じしゅ)」があります。「自主」とは、「他人の保護や干渉を受けることなく、自分の判断で行動すること」を指す言葉です。
「発」と「主」
「発」は、音読みでは「ハツ・ホツ」、訓読みでは「あば(く)・た(つ)・はな(つ)・ひら(く)」と読みます。「自発」という時の、「発」が表すのは「起こる。やる。生じる」という意味です。
一方、「主」は、音読みでは「シュ・ス」、訓読みでは「おも・ぬし・あるじ・つかさど(る)」と読みます。「自主」という時の、「主」が表すのは「つかさどる」、「中心となって管理する」という意味です。
「自発」と「自主」の違い
上でご説明した「発」と「主」の意味の違いから、「自発」と「自主」では、フィーチャーしているものが違うと言えます。
- 「自発」:強制されなくとも自ら進んでやり始めること、成すこと。
- 「自主」:自分の判断で行動などをコントロールすること。
また、例えば「自発呼吸(自身の能力によって行われる呼吸)」という言葉はあっても、「自主呼吸」とは言わないことから、「自発」と「自主」の違いを、次の点にも見ることができるでしょう。
- 「自発」:行動するものに自我があってもなくても使える
- 「自主」:行動するものに自我がある場合に使う
ネットスラング「自発ください」
ツイートやプロフィールの「自発ください」
ここまで「自発」についてご説明してきましたが、Twitterなどで見られる「自発」は、下記のように、少し違った使われ方をしています。
- 「自発ください」:みなさんから私をフォローしてください。
- 「自発します」:私から進んでフォローします。
- 「自発しません」:私から進んで誰かをフォローすることはありません。
このように「自発」=「自ら進んでフォローする」という意味で使用されています。例えば、「自発くださいフォロバします」は、「(あなたから)フォローしてください。そうしてくれたら私もあなたをフォローします」という意味です。
ハッシュタグの「自発ください」
また、プロフィールや投稿の文章に書くだけでなく、可愛く撮れた自撮り写真などに「#自発ください」というハッシュタグがついていることがあります。このハッシュタグは、「(この写真に対して)リツイートやリプライ、いいねなどをください」という意味です。
似た意味のハッシュタグに「#らぶりつ」というタグもあります。「いいね(ハート)したり、リツイートしてください」という意味で、「いいね」を「ふぁぼ(favorite)」と呼んでいた時には「#ふぁぼりつ」と言っていたものと同義です。
「自発」を他人に求める風潮
SNSなどネットの中での「自発」という言葉の使われ方から、「自分は受け身のままで、相手に行動を求める」「自分は安全圏から出ずにチヤホヤされたい」「自分が優位に立って相手をコントロールしたい」という傾向が見られます。
「褒められたい」「認められたい」と思うことは必ずしも悪いことではありませんが、承認欲求を満たすことに依存しないように自分をコントロールすることが肝要でしょう。