談合とは
「談合」の意味は2つあります。実際に用いられる時は、下の意味で使われることがほとんどです。
- 話し合うこと。話し合い。相談すること。
- 競争入札参加者が事前に落札者や落札価格を相談し決めて協定しておくこと。
英語では、「Bid-rigging」や「Collusion」と表記されます。「Bid-rigging」の「bid」は入札、「rigging」は不正という意味です。また「Collusion」は政治や法律に関連する単語です。
「談合」は建設業界で使われるイメージが強いですが、どんな業界でも、競争入札を行う前に相談して決定しておくことは違法行為となります。
談合の使い方
- プロジェクトの方針を談合によって決定する。
- あの公共事業の入札では、談合が行われており落札者が決められていた。
- 談合は汚職の温床となりうるが、一部では慣習となっており根絶が困難である。
談合を分かりやすく説明
たとえば、ある都道府県で橋を作ることになり入札をすることになりました。予算は10億円です。橋の質を保つために、最低落札価格を8億円とします。A、B、Cの3社が工事を請け負いたいと入札することになりました。
それぞれの会社としては、利益を得るためにできるだけ高値で工事を請け負いたいですが、他社がさらに安値で入札すると工事を落札できません。そこで利益を得つつ、落札できるように様々な工夫を凝らしていきます。これが通常の競争入札です。
しかし、談合をする場合は違います。参加する3社があらかじめいくらで入札するか話し合います。
今回はA社が落札するように調整するから、次の仕事はB社、その次はC社に仕事を回すようにしましょう。だから今回A社が9億円、B社が9億5千万円、C社が9億3千万円で入札してください、という具合です。
談合のメリット
発注者側は安く工事をしてほしいので、当然A社が落札することになります。入札する価格も話し合いで設定できるので、利益を出して会社を潤すために、極端にいえば予算に近い額で落札することもできます。実際はやり過ぎるとばれてしますので、上手く価格を調整するとは思いますが。
簡単ではありますが、これが談合の流れになります。要するに、価格競争をせずに入札価格を互いに調整し、利益を得ていくということです。
談合への対策としての法律
談合罪
談合罪とは、刑法96条の3-2項に規定されている、公の競売または入札を行う者が、公正な価格を害し、または不正の利益を得る目的で、あらかじめ互いに相談することによって成立する罪のことをいいます。2年以下の懲役または250万円以下の罰金に処されます。
1941年の刑法一部改正により、公務執行妨害罪の1つに加えられました。談合が競売にとって入札制度の趣旨を無視し、形だけにしてしまうため設けられた罪です。
独占禁止法
独占禁止法は、1947年に公布・施行された「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」が正称です。独禁法とも略称されます。
この法律の目的は、私的独占や不当取引を制限し、不公正な取り引きを禁止することによって事業者間の自由競争を促し、経済の民主的で健全な発達、および消費者の利益確保を図ることです。なお、執行機関として公正取引委員会がこの目的のために設けられています。
実際にあった談合事例
橋梁談合事件
橋梁談合事件とは、K会、A会という2つの談合組織に属する橋梁メーカーが、国土交通省と旧日本道路公団が発注した鋼鉄製橋梁工事において入札談合をした事件です。
公正取引委員会が立ち入り調査を行い刑事告発しました。次いで、東京高検と東京地検特捜部が捜査をしました。そして、旧日本道路公団の副総裁らを含む12人に有罪判決が下り、法人23社の罰金として合計額は約64億にものぼりました。
防衛施設庁談合事件
防衛施設庁談合事件とは、防衛施設庁発注工事の競争入札を巡り、防衛施設庁OBや官僚2名が主導し、業者も参加する形で官製談合が行われた事件です。官製談合とは、行政などの「官」である発注者側がカルテルを主導する汚職のことです。
この事件では、防衛施設庁サイドが天下り体制を維持するために官製談合を長年にわたり継続していたことが明らかになりました。そのため、国民の平和と安全に使われるべき防衛費の一部が、業者の利益だけでなく天下りのために利用されていたと非難されました。