藁とは
藁とは「稲や麦などの茎を干したもの」です。何の茎を干したかによって、稲わら、麦わらなど呼び方が変わります。
「藁」という植物が存在すると思っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、「藁」は植物名ではなく、植物を加工したものの名称なのです。
また、「萱(かや)」と混同する人も多いのですが、「萱」はススキやチガヤ、スゲなど茅葺屋根に用いられる大型草本の総称です。
稲わらと麦わら
先述のとおり、藁には稲わらや麦わらがありますが、言葉として皆さんに馴染みがあるのは、やはり「麦わら」でしょうか。麦わら帽子や、麦わら細工などはよく知られています。「麦わらの一味」の活躍を描く、海賊漫画なんていうのもありますね。
しかし、実は稲わらの文化は日本人の生活にとても深い関係があります。古代から稲作が麦作よりも栄えていたこともあり、稲わらの利用は生活文化の特徴とも言えるほどなのです。
衣食住に藁は利用されている
稲作や麦作の副産物として出来る藁には色々な活用法があり、それは衣食住全般にわたっています。
衣の活用法
藁は、古くは「蓑」や「笠」「草履」などに加工されていました。現代では「麦わら帽子」や「かごバッグ」などが人気です。
食の活用法
皆さんも納豆が藁で包んであるものを、見たことがあるのではないでしょうか。また、カツオの藁焼きも有名です。
藁の香りと、保温や保湿効果が高いとされているため、藁は今でも食文化に重宝されています。米俵の藁から作られています。
住の活用法
「3匹のこぶた」の中で藁で作った家が狼に吹き飛ばされるシーンがあります。日本では、「畳み」や「屋根」「締めなわ」「締め飾り」の他、雑貨類にも利用されます。
「むしろ」「箒」「鍋敷き」など色々な雑貨類に藁は加工されます。最近人気がある「猫ちぐら」は、インテリアとしても可愛いと評判の猫用ベッドです。
藁を使ったことわざ・慣用句
生活に密着していた藁には、ことわざや慣用句がたくさんあります。現代の生活で藁を利用することは減りましたが、言葉の文化として残っています。皆さんはいくつご存知ですか。
溺れる者は藁をもつかむ
「溺れる者は藁をもつかむ」は「せっぱつまった時には頼りにならないものまでも、頼りにする気持ち」です。溺れている者は水に浮かんでいる藁にも頼ろうとすることから転じて、この意味になりました。同じ意味で「藁にもすがる」とも言います。
藁で束ねても男は男
「藁で束ねても男は男」とは、「藁で髪を束ねるような貧しい生活をしていても、男の価値はある」という意味です。現代ではあまりピンとこない表現ですね。
藁が出る
「藁が出る」とは、隠していた欠点が現れること、ぼろが出るの意味です。
藁の上から
「藁の上から」は、産まれた時から、または生まれるとすぐに、という意味です。「藁の上から育てる」と使います。
藁を炊く
「藁を炊く」とは、そそのかす、たきつけるの意味です。
藁の英語
藁は英語で「straw」です。「ストロー」は、ジュースなどを飲む時に使う「ストロー」と同じスペルです。ただし現代では「drinking straw:飲むためのストロー」「wheat straw:麦わら」として区別することが多いです。
藁のつく単語
藁を使った単語で、身近な英語として使えるものには以下のようなものがあります。
- 藁細工:straw work
- 藁人形:a straw doll
- 麦わら帽子:straw hat
ちなみに「strawberry」の「straw」は語源がはっきりしないようです。藁を敷いたイチゴの栽培法は日本独自なので、関係がないとされています。イチゴの可愛い見た目と藁が、何故結び付いたのか、ちょっと不思議な感じですね。
藁が使われる英語のことわざ
The last straw breaks the camel's back.
「最後の藁1本がラクダの背中を折る」と訳します。最後の藁1本の重さが、ラクダの限界を超えてしまうことから、わずかでも限度を超すと取り返しがつかないことになる、という教訓です。
A drowning man will catch at a straw.
「溺れる者は藁をもつかむ」です。
I feel like clutching even at straws.
「藁にもすがりたい気持ちだ」と表現したい場合はこちらでもいいですね。