「周章」とは?意味や使い方をご紹介

みなさんは「周章」という言葉をご存知ですか?「周章てる」はいかがでしょう?ペンネームか何かと勘違いしてしまいそうですが、「周章」は「しゅうしょう」、「周章てる」は「あわてる」と読みます。今回はこの「周章」の意味や使い方を解説します。

目次

  1. 「周章」とは?
  2. 「周章てる」とは?
  3. 「周章てる」と「慌てる」
  4. 「周章」の類義語
  5. 文学作品に出てくる「周章」

「周章」とは?

「周章」の意味

「周章(しゅうしょう)」は、「あわてふためくこと」、「うろたえること」を指す言葉です

「周章」の使い方

  • 「いつも冷静な父が珍しく周章していた。」
  • 「彼のあの周章ぶりから察するにただ事ではない。」

「周章」の語源①

「周章」の語源には2通りの説があります。ひとつは、「周章」という漢語に由来するという説。「周」=「巡る。回る」、「章」=「明らか。明らかにする。」という意味から、「周章」=「目立って歩き回る」となり、「慌てふためく」ことを指す言葉になったといいます。

「周章」の語源②

秦の末期、始皇帝が没した後に、天下を取ろうと各地で反乱が起きました。その中の、陳勝・呉広の乱において、陳勝(ちんしょう)は周章という武将を先鋒にたてましたが、秦の武将・章邯(しょうかん)に二度に渡って敗走させられ、そのときの慌てふためく姿が「周章」の語源となったという説もあります。

「周章てる」とは?

「周章てる」の意味

「周章てる」は「あわてる」と読みます。上でご説明した「周章」の動詞形で、「慌てる」と同じ意味です。

  1. 思いがけないことに出くわして、落ち着きを失う。驚きうろたえる。 
  2. ひどく急いで事をする。

「周章てる」の使い方

  • 「嘘がばれそうになって周章てた。」
  • 周章者(あわてもの)はよく忘れ物をする。」 
  • 「事故の知らせを聞いて周章てて帰った。」

「周章てる」と「慌てる」

「あわてる」の由来

「あわてる」は、「泡立てる」が変化して生まれた言葉といわれています。水に落ちて溺れる→焦って手をバタバタさせる→水が泡立つ、ことから「泡立てる」が「あわてる」の語源と言われています。

また、「あわてる」の「わ」には、「騒ぐ」や「湧く」という意味もあります。溺れて「騒ぐ」あるいは、暴れて「泡が湧く」=「泡立てる」が、「あわてる」に変化したそうです。

「周章てる」と「慌てる」

辞書でも、「周章てる」と「慌てる」が併記されており、同じ意味とされています。

  • 「周章」は「(うろたえて)目立って歩き回る様子」を表す。
  • 「慌」は、「心を表すリッシンベン」+「荒」=「心が荒れている様子」を表す。

同じ「あわてふためく」ことを表すために、「周章てる」は動作から、「慌てる」は心模様から説明していると言えるでしょう。

「周章てる」と「泡を食う」の違い

「泡を食う(あわをくう)」は、下のような言葉から成り立つ、「驚きあわてる」という意味の言葉です。

  • 「泡」は「あわてる」という意味。
  • 「食う」は「被る(こうむる)」という意味。(例:反撃を食う、その手は食わぬ)

「周章てる」と「泡を食う」は同じ語源を持つ同じ意味の言葉ですが、成り立ちを考えると「泡を食う」の方が「他人から何かをされたことによってうろたえる」というニュアンスが強いと言えます。

「周章」の類義語

  • 慌てる、大慌て(する)
  • 慌てふためく
  • 動揺(する)
  • パニクる…「突発的な出来事に頭の中が混乱する」、「パニック状態に陥る」
  • 狼狽(する)…「周章」と同義で「あわてふためくこと」
  • 周章狼狽(する)…「あわてふためくこと」

文学作品に出てくる「周章」

織田作之助『放浪』

次の引用は、織田作之助・著『放浪』です。主人公の順平は、お産で母が死に、祖母に育てられましたが、祖母の死後は父の元に返されます。

しかし、後妻を迎えて既に子も居たため居場所がなく、父の死後は叔母に引き取られて成人し、自分より酷い境遇の兄をいつか迎えてやりたいと思っています。

その実の兄、文吉はというと、地主の養子に行きましたが、その地主が男児を設けたため、下男のように酷くこき使われ続けていました。堪え兼ねた文吉は、ある日、筍を売った金を持ち逃げして汽車に飛び乗り、活動小屋や遊郭で金を使い果たしても絶望が晴れぬまま、半ば自ら命を絶ってしまいました。

引用した場面は、衝動的に金を持ち逃げしてしまった文吉が、慣れ無い繁華街でオロオロとしながらも活動小屋のチケットを買い求めているところです。

楽天地の向いの活動小屋で喧しくベルが鳴っていたので、何か周章てゝ切符を買った。未だ出し物が始まっていなかったから、拍子抜けがし、緞帳を穴の明くほど見つめていた。

宮沢賢治『ポランの広場』

次の引用は、宮沢賢治による童話『ポランの広場』からです。短編小説『ポラーノの広場』は、この『ポランの広場』、戯曲『ポランの広場』、童話『毒蛾』をベースに執筆されたとされています。

『ポランの広場』は、主人公で博物館に勤めるキュステが、小学生のファゼロと一緒に「ポランの広場」に行き、山猫博士たちとの歌合戦に参加する話です。

引用した場面は、冒頭、広場での祭りで、客に酒を注いで回る給仕を山猫博士が呼び止めるシーンです。山猫博士は、山猫を捉えてはアメリカへ売る商売をしている横柄な人物で、歌合戦の後にファゼロに言いがかりをつけ、テーブルナイフによる決闘に発展してしまいます。

山猫博士(立ち上がりながら)「おいおい、給仕、なぜおれには酒を注がんか。」

給仕、(周章てゝ来る)「はいはい、相済みません。座っておいでだったもんですからつい。」


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