「飼い犬に手を噛まれる」とは?
「飼い犬に手を噛まれる」とは「かわいがって面倒をみてきた者に手ひどく裏切られること」をたとえて言うことわざです。「飼い犬に手を食われる」とも言います。
「飼い犬に手を噛まれる」の使い方
「飼い犬に手を噛まれる」は、世話をしてきた者に裏切られることを例えて使われます。飼い主と犬の関係だけでなく、同じように上下が存在する関係に使われます。
相手を「飼い犬」に例えるため、友人間やカップルなど対等な関係性の場合には使うことができません。
- 一生懸命仕事を教えてきた部下が我が社を辞め、ライバル会社に入社した。飼い犬に手を噛まれるとはこのことである。
- 昔から面倒を見てきた後輩に金を持ち逃げされた。飼い犬に手を噛まれるだ。
「飼い犬に手を噛まれる」の語源
「飼い犬に手を噛まれる」は、散歩に行ったり餌を与えたり洗ってあげたりと、可愛がっているにも関わらず、その犬に手を噛まれるという裏切り行為をされることから来ています。
犬の先祖は狼です。狼は集団生活をする動物で、その集団の中にはリーダーが存在し、上下関係がはっきりとしています。犬も同様に縦社会で、自分より上の存在に対して歯向かうことはありません。飼い犬にとっての主人は絶対的なリーダーで、逆らうことのできない存在です。
犬は「三日飼えば三年恩を忘れぬ」と言われています。飼い犬が主人の手を噛むとは「よほどのことが起きた」ということです。「よほどのことが起きた」から「面倒を見てきた者に裏切られる」という意味で使われるようになりました。
「飼い犬に手を噛まれる」の英語表現
「飼い犬に手を噛まれる」を英語で表すと"bite the hand that feeds you"となります。"feed"は「餌を与える、飼う、育てる」という意味の言葉で、「餌を与えてくれている人の手を噛む」という意味なります。
「飼い犬に手を噛まれる」の類語
「恩を仇で返す」
「恩を仇で返す」とは「相手の恩義に報いないで、かえって害になるようなことをする」という意味のことわざです。「恩を仇で報ずる」とも言います。
「仇」とは「ひどい仕打ち」を意味する言葉で、「恩を仇で返す」は恩を受けたならば必ずきちんと恩を返すべきだという倫理観念から出来ていることわざです。反対に恨むべき人に情けをかけることは「仇を恩で報いる」と言います。
- 熱心に育ててくれた親に暴言を吐くなんて、恩を仇で返すようなものだ。
「庇を貸して母屋を取られる」
「庇(ひさし)を貸して母屋(おもや)を取られる」とは「一部を貸したために、その全部を取られてしまう」、「保護してやった相手に、恩を仇で返される」という意味を持つことわざです。
「軒を貸して母屋を取られる」とも言います。軒先を貸しただけなのに、やがて家ごと取られてしまうことから来ています。同様のことわざに「鉈(なた)を貸して山を伐(き)られる」というのもあります。
- 彼に肩入れするのは良いが、庇を貸して母屋を取られることのないようにしろ。
「犬」に関連することわざ
「犬も歩けば棒に当たる」
「犬も歩けば棒に当たる」とは「何かをしようとすれば、思いがけない災難にあうことも多いこと」、「何かをしているうちに思いがけない幸運に出会うこともあること」をたとえて言うことわざです。「犬が歩けば棒に会う」とも言います。
「犬の遠吠え」
「犬の遠吠え」とは「遠くでしり込みしながら吠える犬のように、臆病者が陰でいばったりかげぐちをたたいたりすること」をたとえることわざです。「遠吠え」とは犬などが遠くで声を長引いて吠えることを意味します。「負け犬の遠吠え」とも言います。