「佳境」の意味
「佳境」(かきょう)は、以下の2つの意味を持つ言葉です。
- 景色の良いところ
- 興味深く面白い場面
「佳」という漢字にはすぐれている、良い、美しいといった意味があり、「境」は場所や区切りなどを意味しています。
「佳境」の使い方
1の意味「景色の良いところ」
「佳境」は、先に紹介した熟語の成り立ちの通り、「佳」と「境」の字があわさって、美しい景色の場所、素晴らしい景観が楽しめるところなどを意味します。
ただし、景色の魅力を表現する言葉として使用されるケースはさほど多くなく、次でご紹介する2の意味のほうが一般的に使われています。
例文
- この展望台周辺は、県内随一の佳境と言われている。
- 私が住んでいる地域にはたくさんの佳境があり、何年暮らしていても飽きることがない。
- 出張先では、その土地の佳境を探すのが楽しみだ。
2の意味「興味深く面白い場面」
「佳境」をよく耳にするのは、映画や小説などの作品、またはスポーツの見どころや見ごたえがあるシーンでしょう。そのような時には「佳境に入る」や「佳境を迎える」などの言い回しをすることが多く、興味深い場面がやってきたという意味を表します。
また、ビジネスの場では、プロジェクトの重要なポイントに差し掛かったときなど物事の重大局面を迎える場面で「佳境」を使うことがあります。
なお、「佳境」は物事の終盤を意味する表現として誤用されることがあります。多くの物事で、最大の見せ場が終わり近くにくるからだと推測できますが、物事の終わりは本来の「佳境」の意味ではないため、使い方に注意しましょう。
例文
- 高校時代、体育祭の佳境と言えば、男子の騎馬戦とクラス選抜対抗リレーだった。
- このドラマの主人公は、来週の放送でいよいよ思いを寄せる相手に告白するようだ。まさに佳境だね。
- 映画の告知ではラスト30分で佳境を迎えると言われていたが、実際に見てみるともっと別のシーンにあったと思う。
- 忘年会の佳境は、係長が若手社員だったころの失敗談を課長が暴露して大盛り上がりしたくだりだろう。
- このプロジェクトは半年以上停滞気味だったたが、ようやく動き出し、佳境に入ったようだ。
「佳境」の類語
見せ場
「見せ場」は、見るべき場面・見る価値があるところ、という意味があります。演劇などで役者が一番活躍するシーンを指すことから、映画やドラマなど、見る人ありきの作品に対して用いることが一般的です。
【例文】
- 大御所俳優の見せ場と言えば、やはり圧倒的な存在感を言葉少なげに表現するシーンではないだろうか。
- トーク番組でベテランの芸人が、後輩若手芸人の見せ場を作るために一肌脱いでいたことが印象的だった。
ハイライト
「ハイライト」は、英単語「highlight」のカタカナ読みです。もともとは明るく照らす・強調するという意味ですが、転じて、最も盛り上がった場面などの意味で用いられています。報道番組では、スポーツの主要シーンを振り返る時などによく使われます。
【例文】
- 先ほどまで行われていた、日本代表の海外遠征試合の様子をハイライトでお送りします。
- ワールドカップ最終戦の日なのに、仕事が長引いてしまったので前半戦の様子はハイライトで確認するしかなかった。
クライマックス
「クライマックス」は英単語「climax」をカタカナ読みした言葉で、最高潮、最高点などの意味があります。映画をはじめとする物語や、スポーツ観戦などで最も盛り上がった瞬間を指す言葉です。
【例文】
- この前見た映画は、クライマックスかと思ったらそのあとにもうひと悶着あり、見ごたえ十分だった。
- クライマックスがはっきりしている曲がヒットしやすいことは、今も昔も変わらないと言えるだろう。
「佳境」の英語表現
「佳境」は、「the climax」のほかに「the excitement part(わくわくする場面)」や「come to the most interesting phase(佳境に入る)」などの慣用句で表現できます。
【例文】
- Finally, the mystery novel comes to the most interesting phase. (推理小説がやっと佳境に入った。)
- Sometimes the climax of the heartwarming movie moved me. (心温まるような映画のクライマックスで時々感動してしまうことがある。)