「天狗になる」の意味とは?
「天狗になる」(てんぐになる)とは、いい気になって得意げに振る舞うこと、付け上がって態度が大きくなるさまを言います。
「天狗になる」の由来
「天狗になる」の由来は、山深い所に住む日本の妖怪「天狗」から来ています。天狗は、赤ら顔で大きく高い鼻が特徴的で、神通力を持ち、羽団扇(はうちわ)を持って自由に飛び回るとされています。
なぜ、得意げにしているさまが天狗に例えられるのでしょうか。1つは、天狗自身が自信満々に振る舞う、もしくは、よく自慢するからなどと天狗の性格に由来する説があります。
また、天狗の顔から来ているという説もあります。人が自慢をする際、顔を高々と上に向けて頬を紅潮させ、鼻を高くそびやかして得意げに話をすることもしばしばありますね。その様子が天狗の顔に似ているように見られたのでしょう。
「天狗になる」の使い方と例文
「天狗になる」という言い回しは、多くは他者から見たその人の振る舞いや言動への印象を言います。相手の陰口や悪口を言う時など、冷ややかにその人を見ている場合にあまり良くない意味で使われます。
また、本人が調子づく様子をからかい半分で表す場合もあります。どのような時に使われるのか、3つのパターンに分けて説明します。
自慢話ばかりする
「天狗になる」を使う場合、その人が口を開けば、自分や家族、身内などの自慢話ばかりする状況に使えます。他に話題を変えようとしても、強引に自分の話に引き戻すこともあり、周囲の人がうんざりしているさまがうかがえますね。
【例文】
- Aさんは、「息子さんが難関大学に合格した」と、天狗になってその話ばかりしているね。
- B氏は番組で青年実業家と紹介されて天狗になり、周囲に吹聴している。
自惚れが強い
「天狗になる」のは、自惚れが強く、自分自身の能力などを実際よりも高く見積もっているからとも言えます。
【例文】
- 部下の実績なのに、部長は自分の管理能力でノルマが達成できたと天狗になっている。
- 「私のおかげだから感謝してね」、先輩は1つ上手くいっただけなのに、すっかり天狗になってしまった。
調子づく様子
「天狗になる」は、予想外な出来事があり、浮かれて喜び調子づいている様子を表す際にも使われます。その人のことを冷たい目で、皮肉や嫌味を言う意味で使う場合もありますが、苦笑気味にからかうような目線で使うこともあります。
【例文】
- 息子はクラスの女子全員からバレンタインの義理チョコをもらい、自分はモテるとすっかり天狗になっている。
- 彼は知り合いから芸能人になった方が良いと言われ、すっかり天狗になり、芸能事務所に応募をしたようだ。
- 社長は「SNSのフォロワーが1000人を超えた、自分は人気者」と天狗になっているが、企業のアカウントでは珍しいことではないんじゃないかな。
「天狗になる」の類語
増長する
「増長する」(ぞうちょう-する)とは、もともとは次第に程度が高まっていくという意味の語で、次第に付け上がって人を見下すようになるさまを表します。
【例文】
- Cさんは社長のお墨付きを得たのを良いことに、だんだん増長して図々しくなっていったね。
- 周りにイエスマンしかいないと、増長して人が離れていく一方だ。
鼻高々
「鼻高々」(はなたかだか)とは、その人がいかにも得意げに見える様子、自慢をしたくて仕方がないさまを言います。
こちらの由来も「天狗になる」と同様に、天狗の自慢好きなところから来ていて、顔の中で最も特徴のある鼻が高いことから「鼻高々」という語ができたという説があります。
【例文】
- 「世界遺産の〇〇に行ってきたんだ!聞きたい?」と、彼は鼻高々に話をしだした。
- 彼女は、いつも鼻高々な態度で腹が立つ。大したことがないくせに。
他の「天狗」を使ったことわざ
天狗の飛び損ない
「天狗の飛び損ない」(てんぐのとびそこない)とは、常日頃、得意げにしている人が思わぬ所で油断してしくじってしまうことです。天狗には神通力があり、自由に空を飛べます。しかし、時には失敗して上手く飛べない場合もあることから、このような言い回しができました。
【例文】
- 解答率の高いクイズタレントも、天狗の飛び損ないのように誤答することもあるんだね。
- 得点圏の打率が4割の巧打者でも、チャンスで打ち損じるんだ。まるで天狗の飛び損ないだ。