「お墨付き」の意味とは?
「お墨付き(御墨付き)」は、主に物事について権力のある人やその分野の権威に当たる人から保証されたり、承諾をうけたりすること、および後から証明できるよう作成した保証書や承諾書などの文書のことです。
「お墨付き」のもともとの意味と語源
もともと「お墨付き」は、室町期や江戸期に幕府や大名が家来に与えた許可証や、領地を下賜した際の証明書のことでした。後から正式な書類だと確認できるように、花押(かおう)が墨で書かれていたことから「お墨付き」と呼ばれるようになりました。
「花押」は将軍や大名など高い身分の人が使う、個々の見分けがつくように工夫を凝らしてデザイン化された署名です。書類の正当性を示すため、「花押」は発行者の名前の下に記されます。現在では、契約書などに使う実印が「花押」のイメージに近いかもしれません。
「お墨付き」の使い方
物事に詳しい人が保証する
「お墨付き」はある品物を、その道に詳しい人が「素性が確か」「本物である」「しっかりとした品質」「使いやすくおすすめ」と保証する時に使われます。その品物に詳しく信頼のおける人が、安心して使える根拠を示す様子を表しています。
その道に詳しい人とは、専門に研究している第一人者、熟練している技術者はもちろんですが、ある特定の品物について熟知しているアマチュアにも当てはまる場合があります。
【例文】
- こちらの保湿美容液は、美容のカリスマと名高いAさんお墨付きの商品です。
- メイクオタクのユーチューバー、Bちゃんもお墨付きのマスカラです。
- 超優良企業の株ということで、経済評論家もお墨付きだそうです。
- ブランド品の鑑定をしてもらい、正規品とお墨付きをもらった。
許可をもらう
「お墨付き」は権威のある者から承諾を得ることから、権威ある機関や人物などに依頼や申請をして許可をもらう意味でも使えます。例えば、国や地方自治体に申請して必要な許可証を交付される場合も「お墨付きをもらう」といえるでしょう。
【例文】
- 消費者庁のお墨付きである特定保健用食品の許可が認められた。
- 教授に研究室の出入りを認めるお墨付きを頂いた。
「みなさまのお墨付き」とは?
「お墨付き」は商品のブランド名にも使われることもあります。「みなさまのお墨付き」は大手スーパーの西友で開発されたPB(ブライベートブランド)の名前です。日用品や食料品などを幅広く扱取り扱い、メーカーとの共同開発商品などもあります。
「みなさまのお墨付き」は、一般の消費者がモニターとして参加し、支持率が80%の商品だけを店舗で販売しています。販売以降も定期的に検査して、80%を下回るようなら商品の改良をしたり、販売を中止したりする措置を取ります。
「みなさまのお墨付き」と名前につくのは、「8割以上の人が良いと認めた」という点を、「お墨付き」の品質を保証している意味に例えているのでしょう。
「お墨付き」の類語
折り紙付き
「折り紙付き」(おりがみつき)は、人物の実力や物事の品質を確実であると保証すること、間違いがないと多数から一定の評価を得ている様子をいいます。「折り紙」は半分に折り畳んだ紙で、平安期から公文書や贈答品の目録に使われていました。
江戸時代から、美術品や刀剣などの骨董品の鑑定書としても「折り紙が付けられる」ようになりました。鑑定書は品質を保証する書類です。そのため「折り紙付き」は現在のような意味になったのです。
「お墨付き」と似ている意味ではありますが、「お墨付き」が主に物や商品に使われるのに対して、「折り紙付き」は人にも物にも使えます。
【例文】
- この書は真筆と折り紙つきの作品だ。
- Aさんの立派な人物であるという評価は折り紙付きだ。
太鼓判を押す(太鼓判を捺す)
「太鼓判を押す(太鼓判を捺す)」(たいこばんをおす)とは、人の能力や性質が優れている、物事の品質が絶対に確実であると強く保証することを表す言い回しです。「お墨付き」と違う点は、「太鼓判を押す」が人の性質などに使え、保証書の意味では使われない点です。
「太鼓判」は太鼓のように大きな印鑑のことです。太鼓のような大きな印鑑を押す(捺す)ことで、確実に保証する様子を表しています。もともとは「甲州金」(こうしゅうきん:現在の山梨県、甲斐国で戦国時代から江戸時代にかけて鋳造された金貨)の一種でした。
甲州金の中で「太鼓判」の名がついたのは、金貨の周囲の装飾が太鼓の革留の形に似ているからです。装飾を付けたのは、金がすり減って金貨の価値が下がるのを防ぐためだったと伝えられています。
【例文】
- こちらは、カリスマブロガーが太鼓判を押す猫のマッサージグッズです。
- Bさんの真面目で誠実な性格には太鼓判を捺すよ。